「日記を書くことが、小説を書く練習になる」
と言う人がいます。
たしかに、「日記を書く」という習慣には文章力を高める効果があると思います。
『話す』という行為は日常的なことであり自然なことですが、『書く』という行為は、それほど自然なことではありません。
毎日文章を書くと、「書くこと」を自然な行為に近づけてくれます。
とはいえ、僕の経験から言って「日記を書けば、小説の文章もうまく書けるようになる」とはかぎりません。
日記で書く文章と、小説の文章は、かなりちがうからです。
「小説の修行法」として日記を書くのであれば、書き方をそれなりに工夫する必要があります。
小説の練習になる日記の書き方(本条克明の場合)
三人称形式の客観視点で書く練習法
日記というのは一人称の主観視点(『私』、『俺』、『僕』などの自分の視点)で書くのがふつうです。
ですが、あえて三人称の客観視点で書きます。
つまり、自分のことも名前(もしくは代名詞)で書き、登場人物のひとりとして書くんですね。
客観視点ですので、自分のことも他者からの視点(もしくは中立の視点)で書きます。
たとえば、僕(本条克明)の場合だと、こんな感じ(↓)になります。
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2018年1月13日(土)この日、本条克明は「日記を使った小説修行法」をブログで公開した。
本条が若い頃、実際におこなっていた練習法だ。
「作家としてこういったことは企業秘密にすべきだ」
という思いが、本条にはある。
だが、それと同時に、
「俺が体験的に学び得たことを、必要としている人に教えてあげたい」
という思いを、本条は強くいだいている。
このジレンマ――矛盾しているもどかしさ――による葛藤(かっとう)のすえに、彼はこの方法を公開することに決めた。
自分が学び得たことを伝えたい、という思いがまさったからだ。
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……自分のことを三人称にしただけで、だいぶ小説っぽい文章になってますよね(笑
もちろん、自分は主人公ですので、ときどき視点が同化してもかまいません。
ですが、あくまでも自分のことは名前(もしくは代名詞)で表記します。
このようにして書くと、一日の記録が「三人称形式の小説」のようになります。
つまり、『日記』が三人称小説を書く練習になるんですね。
会話形式で書く練習法
まず、架空(かくう)のキャラクターを設定します。
そして、その架空のキャラクターと会話をするかたちで、その日の出来事を書き記していきます。
たとえば、僕(本条克明)の場合だと、こんな感じ(↓)になります。
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2018年1月13日(土)(本条)「今日、『日記を使った小説修行法』をブログで公開した」
(架空のキャラ)「それはまた、ずいぶん大胆なことをしましたね」
「そう思うか?」
「みずから手の内を明かす行為ですからね。一般向けに公開するのは、賢明ではないと思いますよ」
「たしかに、作家としてはそのとおりだろう。でも人情としては、俺の知識や経験が誰かの役に立つのなら、必要としている人に教えてあげたいじゃないか」
「……まあ、その気持ちはわかりますけどね」
「わかるか?」
「ええ、わかります。わたしにだって人情はありますからね。もし『毎日かかさず日記をつけているのに小説の文章が上達しない』ということで悩んでいる人がいたら、あなたのアドバイスがきっと励みになるでしょうからね」
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……会話で話を進めていくだけで、だいぶ物語っぽくなりましたよね(笑
地の文(会話以外の説明の文)は、いれてもいれなくてもかまいません。
僕の場合、この練習法をやるときは、地の文をいれずに会話文だけで書いています。
このようにして日記をつけると、会話による表現力がアップして、小説の文章がより魅力的になってきます。
登場人物の「台詞(せりふ)」や「会話」による表現が、小説をよりおもしろく、魅力的にするからです。
ばかばかしい日記の書き方だけど……だからこそ練習しよう
僕はこのふたつの書き方で、日記で小説の練習(文章修行)をしました。
「そんな変な書き方で日記を書くなんて、なんだかふざけてるみたいで、ばかばかしく思えるよなぁ……」
なかにはそのように思った人もいるかもしれませんが――
でも、そういうこと言っちゃダメです(笑
物語の創作者というのは、ばかばかしいと思えるようなことに夢中になれる人たちです。
小説をうまく書けるようになりたいのであれば、こういう練習こそ真剣にやるべきですよね。
今回ご紹介した方法は、あくまでも「本条克明の場合はこれで効果があった」というやり方です。
日記で小説を書く練習がしたい――と思っている人は、ご紹介した方法を参考に、さらにアレンジ(再構成)して、自分に合ったやり方を模索してみてください。
自分に合っていること――
それが、あなたにとってもっとも優れた練習法なのですから。
※小説の練習法に関するほかのお話。
→模写(もしゃ)は、優れた文章練習法
→プロット(物語)の作成能力を養う練習法
→『自分の言葉』で書く能力を養う文章練習法
更新
2024年9月22日 ラベルを削除。
2024年10月2日 ラベル「創作哲学」を追加。
2024年10月21日 ページ内目次を追加。