海外小説やSF・ファンタジー小説を読んでいると、
「ヘーゼル(ヘイゼル)」
という色が、たびたびでてきます。
ヘーゼルというのは、
「ライトブラウンとグリーンが混ざったような色」
もしくは、
「ライトブラウンとグリーンの中間の色」
というふうに説明されるのですが……。
お読みのとおり、言葉で伝えようとしてもうまく伝わりません(苦笑
というのも、ライトブラウン(明るい茶色)とグリーン(緑色)はぜんぜんちがう色だからです。
まったく異なる色なのに、「混ざったような色」とか「中間の色」と言われてもイメージできませんよね。
しかも、この「ヘーゼル」という色には、色見本がほとんどありません。
なので、よけいに伝えるのがむずかしい色なんですね。
ヘーゼルって、どんな色?
ヘーゼル(ヘイゼル)というのは、「セイヨウハシバミ」のことです。
そして、色の表現としてのヘーゼルは、
「ヘーゼル・ナッツ(ヘーゼルの実)の色」
のことを指しています。
ヘーゼルとは、こんな色
ヘーゼルという色は、ちょっと訳ありで、色見本が提示しにくい色です。
ですが、あえて色見本をだすとしたら、この色になります。
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この色は、いわゆる「ヘーゼルブラウン」と呼ばれている色です。
見てのとおり、ライトブラウン(明るい茶色)ですね。
いかにも「木の実」って感じの色ですよね。
ヘーゼルという色は、おもに瞳の色を表現するのに用いられます。
もし、アニメやイラストなどで「ヘーゼル」を表現する場合は、先ほど色見本として提示した「ヘーゼルブラウン」を使うのが一般的です。
この色で正解です。
正解なのですが、「完全」ではありません。
ヘーゼルは、見る角度や光の加減によって、この色になるからです。
角度や、光の加減など、環境や状況の変化によって「ライトブラウン」に見えたり「グリーン」に見えたりするんですね。
それが「ヘーゼル」という色です。
「ライトブラウンとグリーンが混ざったような色」とか、「ライトブラウンとグリーンの中間の色」と表現されるのは、そのような理由によるものです。
また、環境によって色が変わってしまうので、「この色」と提示することができません。
色見本がほとんどないのは、そのためなんですね。
ちなみに――
瞳の場合は、光の加減によってライトブラウンとグリーンのグラデーション(色調の段階的変化)で見えることもあります。
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――<上略>――
太陽光にさらされた時、瞳孔に近い部分がライトブラウンに、その周りがライトグリーンに(逆もあり)なることがある。
出典:ウィキペディア ヒトの虹彩の色(ヘーゼルの項目)のページ
※引用の記述は当記事作成時(2018年1月18日)のものです。
日本で「ヘーゼル」という色を見るチャンスとして、比較的多いのは……
たぶん、カナブンじゃないかなぁ。
夏になるとよく見かけるカナブンには、「ヘーゼル」の個体がけっこういます。
もし昆虫が苦手でなければ、カナブンを見つけたときによく観察してみるといいかもしれませんね。
ヘーゼルという色を知るよい機会になると思います。
作家にとって「ヘーゼル」という色は、使い方のむずかしい色です。
作中の登場人物に「ヘーゼルの瞳」という設定をしても、読者に伝わらない可能性が高いからです。
「環境によって色が変わる」というミステリアスな色でありながら、作中で使用すると読者に伝わらない――というジレンマ(矛盾しているもどかしさ)が、ヘーゼルにはあります。
ほんと、むずかしいよなぁ……。
だからこそ、「作家の腕の見せどころ」と言えるのかもしれませんね。
※色に関するほかのお話→白猫のオッドアイに、アシンメトリーの『美』を見た
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日本で「ヘーゼル」を見る機会は……
日本で「ヘーゼル」という色を見るチャンスとして、比較的多いのは……
たぶん、カナブンじゃないかなぁ。
夏になるとよく見かけるカナブンには、「ヘーゼル」の個体がけっこういます。
もし昆虫が苦手でなければ、カナブンを見つけたときによく観察してみるといいかもしれませんね。
ヘーゼルという色を知るよい機会になると思います。
作家のジレンマ 「ヘーゼル」はいい色なんだけど、小説では使うのがむずかしい
作家にとって「ヘーゼル」という色は、使い方のむずかしい色です。
作中の登場人物に「ヘーゼルの瞳」という設定をしても、読者に伝わらない可能性が高いからです。
「環境によって色が変わる」というミステリアスな色でありながら、作中で使用すると読者に伝わらない――というジレンマ(矛盾しているもどかしさ)が、ヘーゼルにはあります。
ほんと、むずかしいよなぁ……。
だからこそ、「作家の腕の見せどころ」と言えるのかもしれませんね。
※色に関するほかのお話
※言葉の使い方、伝え方に関するお話
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