思考、言葉、イメージ、行動――それらはすべて潜在意識への暗示になります。
自覚していなくても、私たちは日常において、自分にも他人にもたえず暗示をかけています。
※こちらをご参考ください
このような話をすると、新たなストレスを生みだす人がいます。
「思考していること、イメージしていること、そのすべてが潜在意識への暗示となり、『現実』を引き寄せてしまう。
だから、絶対にネガティブになってはいけない。
いつ、いかなるときも、ずっとプラス思考、ずっとプラスイメージでいないとだめなんだ!」
このような考え方をして、一瞬たりともマイナス思考にならないように、心を緊張させてしまうんですね。
熱心に肯定暗示やプラス思考を実践(じっせん)している人ほど、これにおちいりやすいです。
肯定的な言動をするように心がけていて、でもうっかり否定的な言葉を使ってしまうこともあって、そのたびに落ち込んで――
そんなまじめな人というのは……
私は、好きです(笑
でもね――
べつにいいんですよ、否定的な言葉を使っても。
マイナス思考になったり、マイナスイメージを思い浮かべたりしても、まったく問題ありません。
おもいっきりネガティブ(否定的)になってもいいんです。
最後が肯定で終わりさえすれば、それで充分なんですから。
心は最後の状態を受け入れる
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最後が否定で終わるのか、肯定で終わるのか
否定的な言葉を使ってしまったときは、心のなかで(あるいは声にだして)すぐに肯定的な言葉で言いなおすようにしましょう。
最後に使った言葉が、心に残るからです。
たとえば、ホンジョーくんの会社の上司が、ホンジョーくんに向かってこのように言ったとします。
************
「きみの仕事ぶりはすばらしい。とても助かっている。
と同時に、きみはまじめすぎて、柔軟さがたりないな」
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上司からこう言われたホンジョーくんは、どう思うでしょう?
批判され、責(せ)められていると感じるはずです。
ですが、もし上司がこのように言ったとしたら、どうでしょう。
************
「きみはまじめすぎて、柔軟さがたりないな。
と同時に、きみの仕事ぶりはすばらしい。とても助かっている」
************
おそらくホンジョーくんは、「上司に褒(ほ)められた」と思うでしょうね(笑
前半部分の「まじめすぎて、柔軟さがたりない」という言葉も、批判や叱責(しっせき)だとは思わずに、
「もっとこうしたほうがいい、という好意的なアドバイス」
「私の欠点が、個性として受け入れられている」
というふうにホンジョーくんは解釈するでしょう。
これ、最初の言い方と「言ってること」や「伝えている内容」は、まったくおなじなんですよね。
ただ、言う順番を入れ替えただけです。
最後が否定で終わるのか、それとも肯定で終わるのか――
それによって心に与える影響は、まったくと言っていいほど変わるんですね。
ときどきネガティブになったほうが、心の力が発揮されやすくなる
熱心に肯定暗示を実践している人や、真剣にプラス思考やポジティブシンキングに取り組んでいる人ほど、
「かたときもネガティブになってはいけない」
という考え方におちいる可能性があります。
私自身、おもいっきりハマったことがあります。
この思考パターンにおちいると、いずれかならず苦悩します。
一日24時間、一年365日、いつもずっとポジティブ(肯定的)な状態でいるなんて、不可能だからです。
人間の心は揺れ動くもの――思考も、イメージも、感情も、すべて動きつづけています。
それは自然であり、健全なことです。
いわば心の本質なんですね。
私は、ときどきネガティブになることを推奨しています。
心のバランスをたもつには、ネガティブになることも必要だからです。
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この「否定の受け入れ」は、プラス思考の苦悩から私を救ってくれました。
さらに、
「ときどきマイナス思考になったり、マイナスイメージを思い浮かべたり、ネガティブな感情にひたったほうが、『心の力』が発揮されやすくなる」
という事実に気づかせてくれました。
プラスの状態に固執(こしつ)すると、思考も、イメージも、感情も、動かなくなってきます。
マイナス思考になったり、プラス思考になったり――
できないイメージを思い浮かべたり、うまくいくイメージを思い浮かべたり――
不機嫌になったり、上機嫌になったり――
それを受け入れると、思考も、イメージも、感情も、状況に合わせてスムーズに働くようになります。
肯定の割合が多くなれば、それで充分
マイナス思考になったり、ネガティブになったりすることは、けっしてわるいことではありません。
すべては、ていどの問題、割合の問題です。
たとえば、呼吸――
呼吸は、『吸う』と『吐く』の転換によって成り立っています。
人の心もそれとおなじで、『ポジティブ(肯定)』と『ネガティブ(否定)』の転換とくり返しによって正常に機能します。
ただ、呼吸の場合は『吸う』と『吐く』の割合が50:50(フィフティ・フィフティ)ですが、心の場合はどちらかにかたよることが可能です。
つまり、割合的にプラスのほうにかたよっていれば、それで良いということです。
そして、思考、イメージ、感情の割合をプラス側に多くするために、最後は肯定で終わるように心がけましょう。
うっかり否定的な言葉を使ってしまったら、肯定的な言葉で言いなおす――
マイナス思考にさいなまれたら、最後にはプラスの考え方で終わる――
うまくいかないイメージにとらわれたら、うまくいくイメージを思い浮かべなおす――
不愉快な思いをしても、最後には笑みを浮かべて終わる――
そのようにして、最後はプラスの状態で終わるようにしましょう。
最後の状態が、あなたの心に残るからです。
より正確に言うと、
「最後の状態が、その後もずっと維持される」
ということです。
ときどき否定的になったからと言って、そんなの大した時間ではありません。
最後がプラスで終わっているのなら、そこから先は、ずっと肯定の状態がつづくのですから。
マイナス思考も肯定するのが真のプラス思考
肯定性を身につけるために、がんばったり、苦しい思いをしたりする必要はありません。
ときには否定的になったり、マイナス思考になったり、不機嫌になったとしても、いっこうにかまいません。
人間なのですから、それが自然です。
最後が肯定で終わっているのなら、それでいいんです。
そう考えたら、簡単ですよね(笑
楽な気持ちで、
すべてを受け入れながら、
心に肯定感(喜び=快)を増やしていく
それが、本当のプラス思考、本当の自己肯定暗示です。
※関連しているお話
※本条克明の自己肯定暗示法(読む肯定暗示)