はじめてWEB上で小説を公開したときに感じたことは、
「横書きだと、文章の印象がこんなにもちがうもんなのか!?」
という驚きでした。
ずっと小説を書いてきた僕にとって「日本語の文章は『縦書き』で書くもの」だったんですね。
ですが、ネット上で活動するようになり、横書きの文章を書くようになってから、
「『縦書き』と『横書き』では、表現の仕方を変えなくてはならない」
ということを実感して、それぞれに合った文章表現の方法を模索しなければなりませんでした。
『縦書き』と『横書き』――印象はかなりちがう
『縦書き』の文章を『横書き』に変換すると、印象が大幅に変わってしまいます。
たとえば、以前に『可変人間サーガ』という作品をネット上で公開していたことがあるのですが……。
※現在は公開していません。
作中に、こんな文章があります。
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虎は、左肩に食らいついているドラグアリゲーターに向き直り、自由のきく右手を一閃(いっせん)させた。
虎の鋭い鉤爪(かぎづめ)が暴君の顔をなぎ払い、バリバリと音を立てて岩肌のような鱗(うろこ)の皮膚を引き裂いた。
暴君はその口を虎から放し、甲高い悲鳴を上げる。
虎は右手を振り上げ、掌を暴君の頭に叩きつけた。
ぐしゃっ、という鈍い音が、川岸のカーマックにも聞こえた。
ドラグアリゲーターはそれっきり動かなくなり、単なる物体と化して、川に流されていった。
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作中のアクションシーンの一部です。
WEB上では、このようなかたちで公開しました。
もとの原稿は縦書きです。
縦書きで書いたもとの文章をそのまま横書きにすると、こんな感じになります。
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虎は、左肩に食らいついているドラグアリゲーターに向き直り、自由のきく右手を一閃させた。虎の鋭い鉤爪が暴君の顔を薙ぎ払い、バリバリと音を立てて岩肌のような鱗の皮膚を引き裂いた。暴君はその口を虎から放し、甲高い悲鳴を上げる。虎は右手を振り上げ、掌を暴君の頭に叩きつけた。ぐしゃっ、という鈍い音が、川岸のカーマックにも聞こえた。ドラグアリゲーターはそれっきり動かなくなり、単なる物体と化して川に流されていった。
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改行はありません。
縦書きの場合は、これぐらいの内容だと改行せずにひとまとめにしたほうが読みやすいです。
特にアクションシーンでは、改行せずにひとつの段落にまとめたほうが、スピード感がでます。
ですが、横書きの場合は、それだとかえって読みにくいです。
というより、見た瞬間に、
「うわ……」(汗
と思ってしまうほど、ごちゃごちゃした印象を受けます。
ネット上で小説を配信するときは、縦書きで書いた原稿を、ブログの記事作成画面にコピーして投稿していたのですが……。
この時、横書きに変換された文章を見て、
「――――」(←絶句)
と、なってしまいました(瀧汗
縦書きと横書きでなぜこんなにも印象が変わるのか、明確な理由はわかりません。
もしかしたら日本人は縦書きの文章に慣れていて、縦方向(上から下)に流れていくことを無意識的に好んでいるのかもしれませんね。
WEB上で公開する文章には、空白行をいれたほうが良い
ネット上で公開する場合はさらに、
「空行(空白行)」
を多く使ったほうが読みやすくなります。
携帯やスマートフォンなどで閲覧している人もいるからです。
言うまでもありませんが、スマートフォンなどの携帯端末は、画面が小さいです。
ただでさえごちゃごちゃしているように見える『横書き』の文章を小さい画面で閲覧すると、画面が文字でいっぱいになり、圧迫感のあるものになってしまいます。
ですので、「空行(空白行)」を多めに使い、画面にほどよいスペース(空白)をつくってあげると、より読みやすい文章になります。
それは、読者に対する「書き手側」の配慮です。
読者に喜んでもらうためなら、それぐらいの手間はどうってことないですよね(笑
近年では、『横書き』のほうが好まれる!?
日本語の文章は、
「『縦書き』でも『横書き』でも、どちらでも書ける」
という特徴があります。
僕自身は、いまでもやっぱり「日本語の文章は縦書きで書くもの」というふうに思っているのですが……。
実情として、近年ではWEBライティングの仕事が多いので、横書きで文章を書く機会が多くなっています(苦笑
さらに、若い世代を中心に、
「文章は、縦書きよりも横書きのほうが読みやすい」
という人の割合が多くなっていると言われています。
本を読まないので、文章を読むのはネット上の書き物だけ――という人が増えてきたためです。
時代の流れなのかなぁ……。
いずれにせよ、WEB上で情報を発信する以上は『横書き』による表現を受けいれ、読みやすい文章になるように工夫しなければなりません。
『縦書き』と『横書き』――
それぞれに適した文章表現をするための参考になさってみてください。
更新
2018年9月28日 文章表現を一部改訂。