2018年1月23日火曜日

小説における「プロット」とは?


 プロットとは、「物語の構想」のことです。

 小説の書き方をマニュアル的に解説した本では、
「物語の土台」
「物語の枠組み」
「物語の設計図」
 といった言葉で説明していることが多いのですが、言葉どおりに解釈しようとすると、かえって意味がわからなくなることがあります。

 また、「あらすじ」という意味でもプロットという言葉を用いることがありますので、よけいにわかりにくい用語だと思います。
正確に言うと、あらすじの場合は「シノプシス」です。


小説における「プロット」


 小説におけるプロットとは、「書く前段階につくった物語」のことです。

 当たり前のことですが、先に物語がなければ文章にはできません。
 ですので、書く前に諸々の設定やストーリーの組み立てをして、物語をあるていど作成しておきます。
 それがプロットです。


プロットは、公開するためのものではない


 先ほどの解説では、小説に限定した説明の仕方をしましたが、ほかのメディアでも一緒です。
 マンガなら、マンガを描きはじめる前段階につくった物語がプロットになります。
 ドラマや映画なら、映像を撮る(もしくはシナリオを書く)前段階につくった物語がプロットになります。

 プロットは、人に見せる(公開する)ためのものではありません
 自分のため(もしくは制作スタッフのため)に作成するものです。
 そのため、正式な「プロットのつくり方」というものは存在しません
 自分(もしくは制作スタッフ)にわかるように書かれていれば良いわけですから、作成の仕方は人それぞれになります。


「箱書き」というプロット作成法


 余談になりますが……。

 戯曲やシナリオにおいては、「箱書き(はこがき)」というプロット作成法があります。
 簡単に言うと、
「各シーンの内容を、一枚の紙に書いていく」
 という方法です。

 すべてのシーンが、それぞれの紙(枠、もしくは箱)に収まります。
 そして、紙を並び替える(シーンの順番を決める)ことで物語をつくっていきます。
 シーンの連続で構成されているシナリオにおいては、古くから重宝されている方法ですね。

 また、複数の人間でプロット(物語)を作成するときにも、「箱書き」の手法は重宝されています。
 シナリオ担当のスタッフが集まって、箱(シーンの内容が記入された紙)を並べます。
 そして、それをみんなで見ながら、シーンの順番や、省いたほうが良いシーン、追加する必要のあるシーンなどを議論して決めていきます。
 海外の映画やドラマでは、大勢のスタッフの知恵を集める手法として広く用いられていますね。


小説を書くのであれば、プロットを作成する能力は必須


 小説の創作において必要な能力は、

  • プロット作成能力
  • 文章力

 大きく分けると、このふたつです。

 プロット作成能力は、「物語をつくる能力」のこと。
 文章力は、「(作成した物語を)表現する能力」のこと。

 小説の創作においては、「プロット作成能力」「文章力」、どちらも欠かすことはできません。

 ですが、僕の場合は「プロット(物語)作成」のほうをより重視して、創作にあたっています。

 日本では、1990年代にストーリー性の高いマンガ作品に対して、
「まるで小説のようなストーリー」
「小説よりおもしろい」
 といった内容のキャッチコピーがたびたび使われていましたが……

 それらのフレーズは、
「小説は(ほかのメディアよりも)ストーリーがよくできている」
 ということが前提になっています。

 活字メディアである小説は、
「知性的 = ストーリーがよくできているのは当たり前」
 というふうに思われています
 小説の世界でやっていく以上、物語がしっかりしていることは大前提なんですね。


 僕の場合、プロットを作成するときは、だいたいこんな手順でやっています。

  • 舞台・世界観設定(舞台や世界観を設定する)
  • キャラクター設定(登場人物を設定する)
  • 「章」レベルでの、おおまかなストーリーを組む
  • 章を「節」に分割して、節レベルでストーリーを組む
  • 効果的なストーリーの起伏ができるようにシーン(節)の順序を入れ替える

 諸々の設定をして、ストーリーの流れ(筋書き)ができあがっていれば、プロットとして充分だと思います。

 プロットは構想ですので、物語を100%つくっておく必要はありません。
 作者(もしくは制作者たち)が、
「ここまでつくっておけば、もう書きはじめられる(制作にとりかかれる)」
 というところまでできていれば充分だと思います。

 僕の場合は、書きながら修正や変更がきくように、プロットの段階ではあえてスペースを残しておくようにしています。


プロットを見ることが、プロットを知るよい機会になる


『~読本』のような関連書籍を開くと、作品の「設定資料」が掲載されていることがあります。
 あの「設定資料」もプロットの一部です。
 本来は制作者しか見ることがないものを公開しています。

 好きな作品の「設定資料」をながめることも、プロットを知る良い機会になるかもしれませんね。


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