2018年2月2日金曜日

「ひとりブレインストーミング」でアイデアをだす 小説向きな発想法


「くだらない思いつき」でもいいから、とりあえず案をだしてみる――
 それがアイデアを生みだす秘訣だと、僕は考えています。

こちらをご参照ください。
アイデアとは、くだらない思いつき? 構えすぎないことが良いアイデアをだす秘訣

 それを実践するにあたり、
「ブレインストーミング」
 という方法があります。

 ブレインストーミングは、本来は集団(会議)でおこなうものなのですが、ひとりでやっても充分に効果があります。
 場合によっては、むしろひとりでやったほうが、より効果が高いことさえあります。


ブレインストーミングのやり方


 ブレインストーミング(brainstorming)は、アメリカのアレックス・F・オズボーン氏によって考案されました。
 集団による話し合いで良いアイデアを生みだす方法を提案したんですね。
 日本ではあまり知られていませんが、欧米では広く採用されている会議方式です。

 ブレインストーミングによる会議(話し合い)には、ルールがあります。

① 否定の禁止(結論厳禁)
 他人の発言を否定してはいけません。「くだらない」とか、「現実味がない」とか、良くないアイデア(意見)だと決めつけるようなことは言わないようにします。

② 自由奔放な意見を歓迎する
 突拍子(とっぴょうし)もない意見や、夢物語のような発言を奨励します。

③ 質より量を求める
 思いついたことはどんどん発言します。気の利いた発言をしようとして黙り込むよりも、さまざまな角度からたくさんのアイデアがでることを求めます。

④ 他人のアイデアに便乗するのを歓迎する
 他人がだしたアイデアに便乗して、そのアイデアを少し変化させたり、ほかのアイデアと組み合わせたりするのを奨励します。


 ブレインストーミングの最大の特徴は、「否定を禁止していること」です
 どんなに「くだらない」と思えるようなアイデアでも、否定してはいけません。
 思いついた意見やアイデアはどんどん発言してもらい、肯定的な気持ちですべてのアイデアを歓迎します。


ブレインストーミングを、ひとりでやる方法


 ブレインストーミングは「集団思考」や「集団発想法」と訳されることがあるように、基本的には集団で考えるための手法です。
 ですが、僕自身の体験として、個人でブレインストーミングを用いる場合も効果があります。

 個人でやる場合もルールは一緒です
 特に「否定の禁止」を、自分に厳しく課すようにします。
 どんなに「くだらない」と思えるようなことでも、脳内の検閲で却下してしまわずに、どんどん書きだしていきます。

 個人でやる場合は「書きだす」という行為が、会議の場合の「発言」に当たります
 ですので、自由に、奇抜(きばつ)な思いつきほど歓迎して、どんどん書きだしていきます。

 この手法の優れているところは、思考や発想が流れつづけることにあります
 些細(ささい)な思いつきでも歓迎して書きだしていくと、思考がとまることなく流れつづけます。
 思考が流れていると、連想的にいろんなことが次々と頭に浮かんできます。
 そうやってたくさんのアイデアをだしているうちに、「これだ!」と思えるようなアイデアがでてきたりします。


「ひとりブレインストーミング」の利点


 僕は「ひとりブレインストーミング」をやってみて、実感として知ることができました。
「アイデアで行きづまるのは『何も思いつかないから』ではなく、思いつきを否定することで思考の流れをとめていたからだ」
 ということに。

 また、
「思いついたことを脳内にとどめているために、アイデアが渋滞を起こして発想がとまっている」
 というケースもあります。

 思いついたことは、どんどん書きだしましょう。
 メモのようなものでもかまいません。
 書くという行為によって、頭のなかにとどまっていたものが外の世界に送りだされます
 それによって、脳のなかに次の発想を生むスペースができあがります

「良いアイデア」というのは、数え切れないほどの「使えないアイデア」に支えられているものです。
 つまり、「使えないアイデア」や「くだらないアイデア」をいっぱいだせる人こそ、優れたアイデアを生みだすポテンシャル(可能性、潜在能力)をもっていると言えるんですね。


 ブレインストーミングは、もともと集団発想法として考案されたものですが、人によってはひとりでやったほうが効果的なこともあります。
「否定の禁止」のルールがあるとはいえ、人前で「くだらない思いつき」を発言するのは、ほとんどの人がためらいをおぼえるからです。

 ですが、ひとりでやる場合は「人にどう思われるか」を気にする必要はありません。
 そのため、思うぞんぶん「くだらない思いつき」を表出する(書きだす)ことができます。
 それに、「思いついたことはすべて肯定する」というのは、思いのほか楽しかったりしますしね。


「ひとりブレインストーミング」は、小説家向きのアイデア法


 また、「ひとりブレインストーミング」は小説を書くためにアイデアを模索している人にとって、たいへん効果的な方法だと言えます

 小説というメディアは「ひとりで創作ができる」という特徴があるのですが、逆を言うと、すべての工程をひとりでおこなわなければなりません。
 とうぜん、アイデアもひとりで生みださなければならないのですが……
 自分ひとりの力でアイデアを生みだす方法として、「ひとりブレインストーミング」はとても優れた発想法だと言えます。

 小説のアイデアを模索している人や、自分ひとりの力でアイデアを生みだしたいと思っている人は、
「ひとりブレインストーミング」
 という方法を、ぜひ試してみてください。


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更新
2018年10月17日 文章表現を一部改訂。表記揺れを訂正。
2018年10月18日 構成、文章表現を一部改訂。リンクを追加。