2018年3月15日木曜日

自分の頭で考える それが個性のはじまり


 当サイトにて、作家としての個性(オリジナリティ)をだすために、
「ハート(感情心)を判断基準にする」
 というアドバイスを致しましたが――

こちらをご参照ください。
自分らしく個性的になるには? 創作とオリジナリティ

 今回は、あなたの「個性」がより深く発揮されるように、大事なことをもうひとつアドバイス致します。


考えるんだ、自分の頭で!


 僕は大学で、哲学を専攻していました。
 古代中国の思想を中心とした東洋の哲学が専門です。

 ですが、東洋哲学、中国学のなかで、僕は少し異質なタイプだったと思っています。
 その理由はおそらく、父が西洋哲学者だったからでしょうね。


東洋の哲学、西洋の哲学


 東洋の思想や哲学は、基本的に教条主義(きょうじょう・しゅぎ)です。
 教条主義というのは、「ある権威者の主張や教義が絶対的に正しい」という考え方のことです。
 きわめて宗教的と言えますね。

 たとえば、儒家思想では孔子や孟子の教えが絶対であり、孔子や孟子の言っていることを理解して覚えることが、儒家思想の『学問』になります。

 道家思想では、老子や荘子の教えが絶対であり、老荘思想を理解して覚えることが、道家思想の『学問』になります。

 東洋の思想・哲学では、ほとんどが教条主義です。
 仏教ではブッダ(お釈迦様)の教えは絶対であり、それを否定する意見を唱えることはできません。
 ヨーガでは、いにしえの聖者の教えが絶対であり、それを否定することはできません。

 何百年前、何千年前に書き残された教典・聖典のたぐいが現在においても絶対的な真理として君臨しています。
 いにしえの聖者・賢者の主張は絶対であり、それを理解して受け入れることが東洋哲学的な「哲学的思考」です。
 自分なりの意見を主張する余地は、どこにもありません。


 僕は、この教条主義というものになじめませんでした。
 父が西洋哲学者だったので、幼い頃から父に「自分の頭で考えなさい」と言われて育ったからです。
「いにしえの時代に生きた人の主張を、盲目的に信じろ」
 と言われたって、そりゃ無理ってもんですよね(笑


 西洋哲学は「考える学問」です。
 父は大学で教授をしていたのですが、父がつくる試験問題はかならず論文形式でした。
「自分の考えを述べること」が大前提にあったんですね。


個性はここからはじまる


 自分には個性がない――
 そう思って悩んでいる人は、何よりもまず「自分の頭で考える」という習慣をつけましょう。

 自分の考えをもっていない人間は、自己をアピールしたり、自分を表現したりすることはできません
 また、自分の考えがなければ、他人とのちがいに気づくこともできません。

自分の頭で考え、
自分なりの答えをだし、
自分の考えをもつ――

「個性」や「自分らしさ」はそこからはじまる――僕はそう考えています。


あなたの個性が、あなたの作品の価値を高める


 小説などのクリエイティブな活動においては、「個性」がたいへん重要視されています。
 そのため「自分の考えをもつ」ということが、創作において不可欠になります。

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「自分の考え」をもっている作家がつくる作品には、メッセージ性があります。
 テーマの深さが感じられます。
 作品から、作家の主義主張や人間性が伝わってきます。
 それは、その作家独自の考え方であり、「傾聴(けいちょう)に値するメッセージ」だからです。
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 このようにして「作家独自の考え」から個性が生まれ、その個性によって作品の価値が高められます。

 自分の考えをもっていること――
 創作では、それが大前提です

 今回のお話は、あくまでも「本条克明の個性の出し方」ではあるのですが、よろしければ参考になさってみてください。


「自分の頭で考える方法」については、こちらをご参考ください。
「無知の知」はソクラテスの落胆だった? (自分の頭で考える哲学的思考法1)


更新
2024年1月4日 記述を一部削除。