2018年3月9日金曜日

『逃避』を克服する方法 (本条克明の場合)


 当サイトにて、創作をつづけるためのメンタル的なアドバイスをしてきましたが――

こちらをご参照ください。
「飛躍点」を理解して、継続する強い心を身につけよう
モチベーションはどこからやってくるのか? 作品を完成させるために目標達成の秘訣を理解しよう
「できることをやる」は最善・最強の目標達成法


 今回は、僕が実際にやっている、
「創作活動につきまとうやっかいな敵を克服する方法」
 をご紹介いたします。

「創作活動につきまとうやっかいな敵」というのは、
『逃避(とうひ)』
 に走ってしまう心理のことです。


『逃避』の心理 なぜ「やるべきこと」から逃げてしまうのか?


 テストの日が近づいてくると、どういうわけか部屋の片付けをしたくなる――
 経験している人もいると思います。

 この心理については、意外と多くの人がいろんなことを言っていたりするのですが……

 はっきり言って、『逃避』以外の何ものでもありません。
 今やるべきことを後回しにして、今やらなくてもいいことに逃げているのですから。

 部屋の片付けのほかにも、
マンガを読みはじめたり――
テレビやビデオを見はじめたり――
インターネットをはじめたり――
 そのようなかたちで、『逃避』をしてしまうケースが多々あります。

創作活動
仕事
試験勉強
課題
日々の練習

 そういった「やらなければいけないこと」に直面すると、人というのは『逃避』の心理が働きます。

 この衝動(しょうどう)を克服して、「やるべきことを、今、やる」という心理状態に移行するには、自分に合った「モチベーションを高める方法」が必要になります。


『逃避』とは、
「やらなければいけないことから逃げて、別のことに意識を向けたり、別のことをはじめる」
 という心理作用です

 この『逃避』に走る心理には、
「失敗するくらいなら、やらないほうがいい」
 という思いが根底にあります

 やらなければいけないことというのは、「(それなりの)成果をあげなければいけないこと」です。
 そのため、どうしても「失敗をおそれる」という心理がわきあがってくるんですね。

 そして、失敗しないための解決策として「それから逃げる」という方法をとってしまうわけです。
 かなり消極的な解決策ですけど(苦笑


 ここで、『逃避』をするときによくとる行動を思いだしてみましょう。

部屋の片付けをする
マンガを読みはじめる
テレビやビデオを見はじめる
インターネットをはじめる

 それらはいずれも、
「今、やる必要のないこと」
 すなわち、
「成果をあげる必要のないこと = 失敗しないこと」
 なんですね。


 また、潜在意識の観点から言うと、
「潜在意識は『義務(束縛)』を好まない」
 という性質があるために、『逃避』が起こりやすくなります。
 潜在意識は、自由を与えられることで『力』を発揮するからです。


 これらのことを踏まえて、僕が実際に活用している、
「『逃避』の衝動を克服して、やるべきことをはじめる方法」
 を、まとめてご紹介いたします。


うまくできている姿(成果)をイメージする


 これからやるべきことに対して、
「それを、うまくこなしている自分の姿」
 をイメージします。

 自分の姿がうまくイメージできない場合は、
「それをやり終えたときの成果」
 をイメージします。
 今日、やったことによって進展した成果を思い浮かべるわけです。

 このイメージングが成功すると、モチベーションが上昇して、やる気になります。

「うまくやっているイメージ」や「成果をあげたイメージ」を潜在意識に伝えることによって、失敗をおそれる心理が、
「やれば、成果をあげることができる」
「やれば、うまくいく」
 という確信に切り替わるからです。

 僕の場合は、この方法がうまくいったときが、もっともいいかたちでモチベーションをあげることができます。


スタートのイメージをくり返す


 僕が、いちばん多く使っている方法です(笑

 それをやりはじめたときのスタートの部分――そこを、重点的にイメージします。

 たとえば、執筆しなければならないのに、なかなか書く気になれない場合――

 今日、これから書く部分の、
「書きだしの1行~3行のフレーズ」
 を、くり返し思い浮かべます。

 ワープロの画面に書き出しの1行~3行が書き込まれていくところを、頭のなかでイメージします。


 そのイメージをくり返していると、実際に書き出しの文章を書きたくなってきます(笑

 具体的なイメージが送られてくると、潜在意識はイメージと現実のギャップを埋めようとして活発に動きはじめるからです。


 これは、
「スタートのイメージを重点的に潜在意識に送り、潜在意識の助けを借りてとりあえずスタートを切る」
 という方法です。

「やらなければいけないこと」というのは、はじめてしまえば、集中して最後までやれちゃうもんだったりします(笑

『逃避』とは、その言葉どおり逃げることです。
 ですが、スタートを切ってしまったら、もうやるしかありません。
 逃げようとする気持ちはどこかへ消え去ってしまいます。


(次回のために)切りの良くないところで終える


 創作のように、長期間つづけることによって完成させる活動の場合は、
「今日のぶんは、切りの良くないところで終わりにする」
 というやり方をすると、次回はすんなりとはじめることができます。

 つまり、途中で終わらせるわけです。

 次回は、つづきからはじめることになるので、スタートのイメージがすでにできあがっています。
 はじまりの具体的なイメージが潜在意識にあるので、抵抗なくスムーズにとりかかることができるんですね。

 それに、途中のままにしておくと、なんだか落ち着かないじゃないですか(笑
 その心理をモチベーションとして利用しちゃいましょう。


今日の成果を60%から70%ぐらいに設定する


 今日、達成すべき成果の基準を、60%から70%ぐらいにさげます。

 たとえば、400字詰め原稿用紙換算(20字×20行の書式)で500枚以上の長編小説を執筆中だとします。
 そして、自分には一日に10枚前後を書く執筆能力があるとします。

 この場合は、書きはじめる前に、
「今日は6、7枚書ければ、それでいい」
 と、みずからに宣言しましょう。

 目標を低めに設定することによって、モチベーションがあがり、スタートを切る勇気がわきあがってきます。


 これは、
  • 60%~70%の出来でいいのなら、失敗することはほとんどないため、逃避をする必要がなくなったこと
  • 100%の成果をあげる必要はない――という許可がおりたことで、潜在意識が義務感から解放されて自由を得たこと
 このふたつの理由によるものです。

 人の『心』というのは「できないこと」はやりたがらないけど、「できること」については前向きになるようにできているみたいです。
 僕だけかもしれませんけど(笑


「できる」のアファメーションでモチベーションを得る


 なかなかはじめる気になれないときに、
「私は、できる」
 というアファメーション(肯定暗示文)を数分から十分ほど唱えると、はじめる気力がわきあがってくることがあります。

「できる」という暗示が潜在意識にうまく伝わると、失敗をおそれる心理が払拭(ふっしょく)されて、うまく成果をあげられる気がしてくるからです。

 人は、「できること」に対しては、前向きにとりくむようにできているみたいです。
 僕だけかもしれませんけど(笑


楽しいことに逃避する


 裏技――というより反則技です(笑

 どうしてもやる気になれないときは、おもいっきり逃避しちゃいましょう。

 と言っても、部屋を片付けたり、マンガを読んだり、テレビを見たり、インターネットをはじめたり――そういった無意味なことに逃避するのではなく、楽しいこと、好きなことに逃避します。

 つまり、自分の状態(感情)がポジティブになること――脳が『快』になることに専念するのです。

 そして、めいっぱい楽しんで、自分の状態がポジティブになったら――

 再度、やるべきことと向き合います。
 自分の状態(感情)がポジティブになっているときは、すべてに対して前向きになっています。
 いいかたちで、スタートを切ることができます。


作品を完成させる秘訣は、とにかく継続すること


 創作から逃げていたのでは、作品はいつまで経っても完成しません。
 ですが、たとえ少しずつであっても創作をつづけていれば、どんなに長い物語であろうといずれかならず完成します

 創作活動というのは、長丁場(ながちょうば)ですからね。

とまらないこと、
逃げないこと、
つくりつづけること――

 作品を完成させる秘訣は、それ以外にはありません。

 ご紹介した方法は、あくまでも「本条克明の場合は」というやり方ではあるのですが、楽しく、意欲的に、創作をつづけるための参考になさってみてください。