私は29歳のときにうつになり、それから5年間、ひきこもりの生活をしていたことがあります。
働き盛りの年齢でありながら、無気力で何もすることができず、社会から切りはなされていく日々――
あのころの私は、人生を終わらせることばかり考えていました。
死ぬのなら、誰にも迷惑をかけない死に方をしたい――
そう願い、「どうすれば誰にも迷惑をかけずに死ねるのか」と、毎日、悶々(もんもん)と自分に問いつづけました。
あのとき私が自殺を実行しなかったのは、「誰にも迷惑をかけずに死ぬ方法」が思いつかなかったから――ただそれだけです。
もしあのとき思いついていたら、私はいま、この世に存在していません。
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お読みのとおり、私はひどく心のよわい人間です。
ですので、いま現在、死にたいくらいに悩み、苦しみ、絶望している人に対して、
「死んではいけない」とか、
「生きろ」とか、
そういう言葉を発する資格は、私にはありません。
また、言うつもりもありません。
ですが、私はかつて人生を終わらせたいと願うほど苦悩し、そこから立ち直る経験をしています。
そんな私だからこそ、確信をもって言えることがあります。
「いま人生を終わらせたら、絶対にもったいない!」