前回の記事で、継続する心を身につけるためのアドバイスをいたしましたが――
※こちらをご参照ください。
→「飛躍点」を理解して、継続する強い心を身につけよう
継続をするためには、モチベーション(意欲)が不可欠です。
モチベーションがない状態で努力をつづけると、心に強い負荷がかかってしまうため、あなたの創作活動から喜びがうしなわれてしまいます。
今回は、
「目標達成までモチベーションを維持する」
ということについて、お話しいたします。
モチベーションは、心のこの場所からやってくる
モチベーション(意欲)は、どこからやってくるのでしょう?
その答えは『潜在意識』です。
モチベーションは、潜在意識からやってきます。
どんなに意志の力が強くても、潜在意識が味方にならないかぎり、「やる気」や「意欲」はわきあがってきません。
意識(顕在意識)というのは『心』のなかの一部分に過ぎず、大部分を潜在意識が占めているからです。
※通常の意識(顕在意識)は氷山の一角にすぎない
潜在意識が協力してくれなかったら、小説を書きあげることはもちろん、あなたが何を達成しようとしているにせよ、意欲的にとりくむのは困難です。
心の大部分(潜在意識)が、活動していないからです。
それじゃあ、どうすれば潜在意識を味方につけてモチベーションを高めることができるのでしょう?
じつは、そこに「目標達成」の秘訣があるんですね。
モチベーションの正体
ちょっとお訊きしたいのですが――
今までに、↓こういう経験をしたことはありませんか?
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長距離走の終盤、倒れそうなくらいに疲れ切っているはずなのに、ゴールが近づいてきたら、ラストスパートをする力がわきあがってきた。
試験の最終日、連日のテストで精神的に疲れ切っているにもかかわらず、最後の科目は集中して答えを書くことができた。
気持ちがはいらず嫌々やっていた仕事なのに、もうすぐ完成という段階になったら、夢中になって一気に仕上げた。
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おそらく、ほとんどの人がこれと同様の経験をしたことがあると思います。
人の『心』というのは、終わりが近づいてくると、モチベーションが上昇するようにできているんですね。
なぜ、このようなことが起こるのでしょう?
それは、終わりが近づくにつれて、「達成の瞬間」を潜在意識がはっきりとイメージできるようになるからです。
スタートしたばかりのときは、ゴールが遠すぎるため、「達成の瞬間」を明確にイメージすることはできません。
そのため、潜在意識のなかで「意欲」と「不安」がせめぎ合うような心理状態になります。
モチベーションが低下しやすいのは中盤です。
消耗してくるからです。
疲れてくるしい思いをしているときなので、
「ゴールにたどり着くのはムリかもしれない……」
「ここまでしてつづける意味があるんだろうか……」
と心が折れそうになります。
ですが、ゴールが近づいてくると、
「どこにそんな力が残っていたんだ!?」
と自分でも驚いてしまうくらいに、内側から『力』がわきあがってきます(笑
終わりが近づいてくると「ゴールした瞬間」をリアルにイメージできるため、潜在意識が活発に動きだすからです。
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これこそが、モチベーションの正体なんですね。
潜在意識が「達成した瞬間」をはっきりとイメージできるようになると、潜在意識は『イメージ』と『現実』のギャップを埋めるために、全力で活動をはじめます。
それがモチベーションとなって、あなたの背中を強く押してくれるんですね。
モチベーションを高めて維持する秘訣
さとい方は、僕が何を言おうとしているのか、もうわかってしまったかもしれませんが――
「目標の設定というのは、現状から近いほうがいい」
ということなんですね。
人の『心』は、
「もうちょっとでできそうだ」
とか、
「あと少しで完璧になる」
と感じたときに、モチベーションが上昇するようにできています。
ですので、
「ゴール(達成した瞬間)が少し先に見えるような、近めの目標設定が望ましい」
ということになります。
もちろん、「大きな目標をいだいてはいけない」という意味ではありません。
それを一度に叶えようとすると、潜在意識の助けが得られにくい――ということです。
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10キロの距離を競走するのであれば、分割して、それぞれに目標を設定してみましょう。- 最初の3キロは●●分以内に走る
- 次の3キロは周囲との駆け引きをしながら▲位以内につける
- 次の3キロは忍耐強い走りで順位とペースを維持する
- 最後の1キロは残りの力をだしきってラストスパートする
このようにすれば、目標が4つに分割されます。
10キロ先のゴールは遠すぎますが、3キロ先のゴールなら潜在意識は明確にイメージできます。
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「小さなゴール」をひとつひとつ達成していくことで、「最終的なゴール」を達成する――
このようなやり方をすれば、高いモチベーションを維持することが可能になります。
潜在意識が、すべてのプロセスで味方になってくれるからです。
作家は、長い作品のときほど当面のシーンに専念する
もちろん、小説の創作においてもおなじです。
たとえば、あなたが400字詰め原稿用紙(20字×20行の書式)換算で、500枚以上になる長編小説を書きあげようとしていると仮定した場合――
- 全編を1章~10章に分割(各章 50~60枚ぐらいを目安)
- さらに、各章のなかを5節、もしくは6節に分割(各節 10枚前後を目安)
というように、本編を50~60個の節に分割します。
そして、これから書くシーン(節)に全神経を集中させて書いていきます。
その節が書きあがったら、今度はその次のシーン(次の節)に全神経を集中する――
そのようにして創作にいどむと、長い物語であってもモチベーションが低下しないため、最後まで書きあげることが容易になります。
僕だけではなく、ほとんどの作家が、おなじようなやり方で物語を完成させていると思います。
さすがに500枚以上先にある「最終的な完成」を意識していたら、高いモチベーションを保つことはできませんからね。
作家は「このシーンを書きあげること」に専念し、それを積み重ねることによって物語を完成させています。
つまり、当面の小さな目標をひとつひとつ達成していくことで、最終的な大きな目標を達成しているんですね。
モチベーションがあがっているときは、「心の力」が味方になっている
いまのあなたから近い目標であれば、高いモチベーションを得ることができます。
潜在意識が「目標を達成した瞬間」をはっきりとイメージできるからです。
そして、モチベーションがあがっているということは、潜在意識が味方についている証拠でもあります。
良いかたちで目標を達成できると思いますよ。
※目標達成に関するほかのお話
→「できることをやる」は最善・最強の目標達成法
→『努力』とは楽しいもの
更新
2018年8月12日 目標達成に関するほかのお話 のリンクを追記。
2019年6月5日 ラベルに「生き方、自己啓発」を追加。
2024年10月15日 リンクを追加。