執筆をするときは、タッチ・タイピングで打っています。
※タッチ・タイピングとは、キーボードのキーを見ないで文字を打つこと。
ブラインド・タッチという言い方をすることもあります。(ブラインド・タッチは和製英語)
ほかの作家の先生方とくらべたことがないので作家としてどうなのかはわかりませんが、一般の人よりもだいぶ速くタイピングできます。
タッチ・タイピングを習得すると、文章が速く書けるようになります。
「いま現在、タッチ・タイピングを練習している」
「タッチ・タイピングができるようになりたいと思っている」
という人のために、つまずいたり挫折したりすることがないように、僕から少しアドバイスをしたいと思います。
タッチ・タイピングは「速く書く」ためのもの
そもそも、なぜタッチ・タイピングを習得するのでしょう?
それはもちろん、「タッチ・タイピングをマスターしたら文章が速く書けるようになるから」ですよね(笑
当たり前のことなんですけど、じつはこれ、とても重要なことなんですね。
この理解が、タッチ・タイピングの習得を助けてくれるからです。
形式にこだわらない 自分流でも速く打てればそれでオーケー
僕のタッチ・タイピングは、おもいっきり我流(がりゅう)です。
初めてワープロを購入したときに、自己流でタッチ・タイピングを習得しました。
当時、コンピューター関連の会社に勤めていた兄から、
「タッチ・タイピングをするときは、左手の人差し指を『F』のキーに、右手の人差し指を『J』のキーに置いてやるんだよ」
そう教えてもらっただけで、あとは完全にひとりでおぼえました。
最初のうちは1文字ごとに、
「あれ、どこにあるんだっけ?」
とキーをさがし、キーを見つけたら画面のほうを見て、キーボードから目をはなして打つ――
それをひたすらくり返しました。
当時は、
「タッチ・タイピングができるようになると手書きより速く書けるっていうけど、本当なのか!?」
と不安と疑念でいっぱいでした。
1文字ごとにキーをさがしていたので、これで速く打てるようになるなんて信じられませんでした。
ところが、ふしぎなもので根気よくつづけていると、指がキーの位置をおぼえてしまうんですね。
頭で学習した、というより「指が記憶した」という感じです。
そんなふうにして、独学でタッチ・タイピングを習得したのですが……
自己流なので、正式な打ち方とは使う指がちがっていると思います。
ですが、ちゃんとキーを見ないで速く打っています(笑
タッチ・タイピングは「速く打つ」ためのものです。
速く打てるのであれば、正式な指の位置だとか、教本に書かれている指の使い方だとか、そんなものにこだわる必要はないと思います。
こだわるべきところは「誰かが決めた形どおりにやること」ではなく、「速く打つこと」です。
タッチ・タイピングを練習するときに、
「しまった! このキーを打つときは、この指じゃなかった!」
といったことは、いっさい気にしないようにしましょう。
いいんですよ、指がちがっていても。
人それぞれ手の大きさも指の長さもちがうのですから、他人が決めたとおりの指づかいである必要なんてありません。
ちゃんと画面を見たまま打てるのであれば、それは立派なタッチ・タイピングです。
入力ミスをしたら、すぐに打ち直せばいい
タッチ・タイピングがようやくできるようになりはじめた頃、入力をたびたび打ちまちがえることが気になり、
「くそっ、なんでミスをしてしまうんだ!」
と自分にいらだっていたことがあります。
そんな僕の様子を見て、兄がこう言いました。
「べつに打ちまちがえたっていいんだよ。
打ちまちがえたら、すぐにもどって打ち直せばいいだけのことなんだから。
タイピングってのは、『打ち直す速さ』も速さのうちなんだ」
兄のこの言葉を聞いて、心がふっと軽くなりました。
打ちまちがえたら、すぐに打ち直す――
それもタイピングの速さのうち
そのことを理解してからは、入力ミスを気にしなくなりました。
そして、打ちまちがえることを気にしなくなったら、もっと速く打てるようになりました(笑
ミスをおそれる気持ちがなくなったので、自信をもって迷わず打てるようになったからです。
習得には日数が必要 とにかく継続して練習しよう
タッチ・タイピングは、速く打つためのものです。
逆を言えば、「速く打てるのであれば、形式はいっさい関係ない」ということです。
僕の経験から言って、指の使い方や形式にこだわることなく、
「キーを見ないで、画面を見たまま入力する」
そのことだけを遵守(じゅんしゅ)して練習を積み重ねたほうが、より速く習得できます。
と言っても、1日や2日の練習では、指がキーの位置をおぼえてはくれません。
個人差があるにせよ、習得するまでにはそれなりの日数がかかります。
タッチ・タイピングができるようになれば、手書きとはくらべものにならないスピードで文章が書けるようになります。
もしあなたが作家を志しているのであれば、文章を書く専門家として、とうぜん身につけておくべきスキル(技能)のひとつです。
あせらずに、毎日みじかい時間でもかまわないので、継続して練習するように心がけましょう。
※執筆に関するほかのお話
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