2018年6月5日火曜日

「手書き」のときはゲルインク・ボールペン


 僕の場合、執筆をするときはいつもワープロを使っています。

こちらをご参照ください。
ワープロは作家のバディ(相棒) 作家の道具の筆頭はワープロ


 ですが、

メモをしたり、
アイデアを練ったり、
思い浮かんだイメージを簡単に絵にしたり、

 そういうときは、紙にペンで書いています。
 そして、手書きで書くときはゲルインクのボールペンを使用しています。


ゲルインク・ボールペンを活用する


 僕の父は、哲学者でした。
 ワープロを使用したことはなく、生涯(しょうがい)ずっと手書きでした。

 父は、論文や出版社に依頼された原稿を書くときは、原稿用紙に万年筆で書いていました。

 ですが、ゲルインクのボールペンが世に出回るようになると、
「これはいい!」
 と賛嘆して、ゲルインク・ボールペンを重宝(ちょうほう)するようになりました。

万年筆で書いたかのようななめらかな書き心地――

それでいて万年筆のように手入れが面倒(めんどう)ではなく、使い捨てできる気軽さ――

しかも価格がお手頃――

 それからの父は、執筆はすべてゲルインク・ボールペンでおこなうようになりました。

 そして、
「これはいいぞ」
 と言って、僕にもゲルインク・ボールペンを勧めてきました。

 それが、僕がゲルインク・ボールペンを使うようになったきっかけです。

「手書き」の効用


メモをとったり――
アイデアを書き連ねたり――
モチーフ(小説の題材)を模索したり――

 そういうときには、ゲルインク・ボールペンを使って紙に書いています。

 べつに、パソコンでもいいのですが……
 僕の場合、執筆はいつもパソコン(ワープロ)を使っているので、パソコンに向かうと「本番の書き物」をやっているような気分になってしまい、なんだか心が構えてしまうんですよね。

 ノートやメモ用紙などにペンで書いたほうが楽な気持ちになるので、自由な発想がでやすくなります
 あくまでも、「僕の場合は」ですけど(笑


 それに、執筆をワープロでやっているので、一日10時間以上パソコンの画面を見ていることなんて当たり前の生活をしています。
 ですので、目の健康上、アイデアを練るときぐらいはパソコンの画面から目をはなして、紙に手書きでやるようにしています。


「手書き」でアイデアを練る方法(本条克明の場合)


 アイデアを練るときは、まず 青 の3色のゲルインク・ボールペンのキャップをはずし、3色がすぐに使えるように準備します。



 紙に向かい、思いついたことを3色を使い分けながら書き記していきます。



 色を3つ使う理由は……

 なんとなくです(笑

 黒一色で書くよりも色分けしながらのほうが楽しいし、あとで読み返したときも色があったほうが見やすいので、3つの色を使って書いています。
 色分けの決まりとかがあるわけではなく、その場その場の思いつきで色を変えているだけですので……
 ほんとに、「なんとなく」です(笑

 あえてそれらしい理由を挙げるとすれば、
「色があったほうが脳が活発になる」
 という効果があるからです。

思考する
文字を書く

 そういったことをおこなっているときは、左脳の理性や言語をつかさどる部分が集中的に使われます。
 ですが、色があると右脳のイメージをつかさどる部分も活動するため、脳をより多く活用することができます。

 色分けをすることによって、そのようなメリットがあるのですが……

 でもまあ、本当のところはやっぱり「なんとなく」です(笑


イメージを描きとめるときも、ゲルインク・ボールペンならいい線が引ける


 いいイメージが思い浮かび、
「これを絵にして描きとめておきたい」
 と思ったときも、ゲルインク・ボールペンでささっと描いて、色鉛筆で軽く色をつけています。




 線がなめらかなので、「つけペン」のような線が引けます
 絵を描くときも、ゲルインク・ボールペンはいいです。

 ただ、Gペンなどのつけペンでは線の強弱(太い・細い)をつけることができますが、ボールペンだと線の太さが一定になります。
 そういう意味では、本格的な絵を描く場合はつけペンのほうが適してると言えるのかもしれませんね。


 ですが、ボールペンならではのメリットもあります。

 マンガ家の五十嵐大介(いがらし だいすけ)先生は、風景やディテールの書き込みなどにはゲルインク・ボールペンを使用しているそうです。

 五十嵐先生は、ボールペンの利点についてこう言っています。

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「行ったり来たりで線が引ける――ペン(つけペン)だと一方向じゃないと引けないみたいなところがあるけど」

( )のなかに補足を入れています。
出典:『浦沢直樹の漫勉』 五十嵐大介 (2016年3月17日放送 NHK Eテレ)
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 かぶらペンやGペンなどのつけペンだと、たとえば上から下に向かって線を引いた場合、紙からペンをはなさずに、そのまま下から上へ線を引くことはできません。
 ペン先が引っかかってしまうので、いったんペンを紙からはなす必要があります。
 万年筆もそうです。

 ですが、ボールペンの場合は、上下にも、左右にも、ペンを行ったり来たりさせて線を引くことができます

 これこそが、ボールペンならではのメリットなんですね。

 ボールペンの構造は、
「ペン先に小さな鋼球(ボール)がはめ込まれていて、その鋼球が紙の上で回転することによって線が引かれる」
 というものです。

 紙の上でボールが転がっている――という仕組みなので、あらゆる方向に移動することができるんですね。

 五十嵐先生は、緻密(ちみつ)な線を積み重ねて大自然を描くのを持ち味にしています。
 あの雄大な風景をボールペンで描いているなんて、びっくりですね。


ゲルインク・ボールペンは、とにかく書き心地がいい


 ゲルインク・ボールペンはそのほかにも、
「耐水性に優れている」
 という利点があります。
顔料ではなく染料をインク素材に使っているゲルインク・ボールペンの場合は耐水性に難があります。


 書き心地がなめらかなので、筆圧をかけなくてもサラサラ書くことができ、疲れにくいです。

 そして、万年筆で書いたかのようななめらかな線になるので、文字の見ばえがよくなります。
 ちょっと丁寧に書けば、決して字がきれいではない僕でも、印象による効果で「達筆」に見えたりします(笑

 紙の上をすべるようになめらかに書けるので、書いていて気持ちがいいです。

 僕の場合、ペンはいつもゲルインク・ボールペンです。
 たいへん重宝しています(笑


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