今回は、僕の「小説の創作法」の最終回、
「推敲・校正」
についてお話しいたします。
※1回目から読む場合は、こちらの記事をご閲覧ください。
→小説のモチーフを得る (本条克明の小説作法1)
文章の手直しをして、作品を仕上げる
推敲(すいこう)も、校正(こうせい)も、
「文章を手直しする」
という意味の言葉です。
推敲は「文章表現や、言葉の使い方の手直し」という意味合いが強く、校正は「字の誤りを訂正する」という意味で用いられることが多いです。
ですので、執筆した原稿を、
推敲 → 校正
という順序で仕上げるのが一般的だと思います。
とはいえ僕の場合、推敲と校正の作業がきっちり分かれているわけではありません。
推敲(表現や言い回しの手直し)をしているときでも、誤植が見つかれば直します。
校正(誤植の訂正)をしているときでも、もっといい表現や言い回しが思いついたら書き直します。
最終的に良い文章に仕上がるのであれば方法はなんでもアリなので、推敲と校正をきっちり分けたりせずに、気づいたときに気づいたところを直すようにしています。
また、作家のなかには、
「原稿をしばらく寝かせてから推敲すれば、作品の内容を忘れて第三者の目で読めるので、推敲の前に数週間から数ヶ月のあいだ原稿を寝かせたほうがいい」
という考え方をしている人が少なくありません。
ですが、僕の場合は執筆を終えたらすぐに推敲をはじめています。
書き終えてから間をあけないほうが作品の内容をよくおぼえているので、矛盾している展開やふさわしくない言い回しなどを見落とすことなく推敲できるからです。
ページ内目次
・推敲・校正は、納得がいくまでくり返す
・小説はオリジナリティの世界――あなただけの小説作法を
ワープロソフトは『一太郎』を使っています。
※『一太郎』は、株式会社ジャストシステムによる開発・販売の日本語ワープロソフトです。
現在は2013年度版を使用しているのですが、プレミアム版を購入したので音声読み上げソフト「詠太(えいた)3」がついてきました。
自然で滑らかな音声読み上げを実現する「詠太」
JustSystems様の動画(YouTube)
「詠太3」には、この3種類の声があります。
「詠太」の読み上げは、かなりスゴイです。
論文口調で書かれた文語体の文章なら、ほぼ完璧なイントネーションで読み上げます。
僕の場合は一太郎ユーザーですので、推敲・校正の作業も一太郎の機能を活用しています。
特に、「詠太」にはメチャクチャ助けられています(嬉
仕上げた原稿(第二稿)を、一太郎で開きます。
僕の場合、執筆のときは「黒い背景、淡いグレーの文字」という設定で書いています。
推敲・校正では、この画面設定を元にもどします。
ただ、背景を白にするとまぶしくて目が疲れるので、
「淡いグレーの背景、黒い文字」
という設定にすることが多いです。
つづいて、第三稿(画面でひととおり推敲した原稿)を開いている状態で、「詠太」を起動させます。
という設定にしていることが多いです。
(文章のリズムに合うように、もっと速く設定することもあります)
速度をあげることによって「自分がふだん文章を読む速さ」に近くなるため、
「読み上げを聞いていて耳に心地いい」
「文章のリズムを確認できるので、言葉の使い方が正しいかどうかを判断しやすくなる」
という効果があります。
原稿を、最初から「詠太」に読み上げてもらいます。
そのようにして『耳』と『目』の両方で、言葉の使い方や文章のリズムなどを確認していきます。
そして、おかしな表現に気づいたり、もっといい言い回しが思いついたら、そのつど書き直していきます。
最後まで読み上げ、全文をチェックしたら<第四稿>は終了です。
これで、推敲は完了です。
次は最後の仕上げ――校正です。
誤植(字の誤り)を見つけだして訂正する作業です
一太郎で、第四稿(推敲を終えた原稿)を開きます。
一太郎の[ツール]→[文書校正]の機能を使って、誤字・脱字をさがします。
この機能を使うと、一太郎が誤字・脱字、おかしな言い回しをさがし出してくれます。
このツールでは、会話文の「まあ」とか「なんだよなぁ」とか、擬音や擬態語とか、そういった字の誤りでないところにも反応します。
また、書き手がどんな意図で変換したのか機械には判別できませんので、変換ミスを見落としたりします。
ですが、うっかり句点を二重に打ってしまった( 。。)などのミスは、確実に見つけだしてくれます。
一太郎の[文書校正]機能が見つけた誤植を訂正し終えたら、「詠太」を起動させます。
そして、「詠太」の再生スピードを標準(100)以下に変更し、読み上げ速度を遅めに設定します。
最後まで読み上げ、誤植がないか全文をチェックしたら<第五稿>の終了です。
これで校正は完了――作品の完成です。
やったね(笑
このような感じで、僕の場合、「順調にいけば」第五稿で作品が完成します。
ですが、実際に第五稿で終わることはめったにありません(苦笑
推敲・校正というのは、なかなか満足できないもので、つい何回もくり返してしまいます。
というのも、読み返すたびにどこかしら書き直しをしたくなるので、どうしても「まだ完璧じゃない」という思いが残ってしまうんですね。
毎回<第十稿>を超えても、まだやってます(苦笑
「できることはすべてやり尽くした!」
という確信がもてるまで、根気よく何度もくり返しています。
そしてその末に、ようやく作品が完成したときは――
メチャクチャ嬉しくなります(笑
この瞬間があるからやめられないんですよね、小説の創作は(笑
当サイトにてご紹介した「小説の創作法」は、あくまでも「本条克明の場合は」というやり方です。
小説や創作の世界というのはオリジナリティ(独創性)が求められているため、書き方(創作の仕方)もオリジナルでなければなりません。
ご紹介した方法が、あなた独自の「小説作法」を築きあげる手助けになりましたら、たいへん嬉しく思います。
※本条克明の小説作法
→小説のモチーフを得る(1)
→小説の世界観・舞台を設定する(2)
→小説のキャラクター(登場人物)を設定する(3)
→小説のプロットを仕上げる(4)
→小説の執筆をする(5)
→小説の推敲・校正をする(6) 当記事
※一太郎に関するほかのお話は、こちらをご参照ください。
→ワープロは作家のバディ(相棒) 作家の道具の筆頭はワープロ
→音声読み上げソフトは誤字・脱字を解消する最強ツール
更新
2019年5月28日 画像の表示サイズを変更。
2019年7月28日 リンクを追加。
・小説はオリジナリティの世界――あなただけの小説作法を
一太郎と詠太の活用
ワープロソフトは『一太郎』を使っています。
※『一太郎』は、株式会社ジャストシステムによる開発・販売の日本語ワープロソフトです。
現在は2013年度版を使用しているのですが、プレミアム版を購入したので音声読み上げソフト「詠太(えいた)3」がついてきました。
************
<関連動画>自然で滑らかな音声読み上げを実現する「詠太」
JustSystems様の動画(YouTube)
************
- MISAKI (はきはきした女性の声)
- SAYAKA (落ち着きのある女性の声)
- SHOW (はっきりとして力強い男性の声)
「詠太3」には、この3種類の声があります。
「詠太」の読み上げは、かなりスゴイです。
論文口調で書かれた文語体の文章なら、ほぼ完璧なイントネーションで読み上げます。
僕の場合は一太郎ユーザーですので、推敲・校正の作業も一太郎の機能を活用しています。
特に、「詠太」にはメチャクチャ助けられています(嬉
推敲のやり方(本条克明の場合)
仕上げた原稿(第二稿)を、一太郎で開きます。
僕の場合、執筆のときは「黒い背景、淡いグレーの文字」という設定で書いています。
※[表示]→[画面表示設定]→[イメージ編集]を選択し、「色の設定」のところで背景色や文字色を設定できます。
(ドラフト編集画面で執筆をしている場合は、[表示]→[画面表示設定]→[ドラフト編集]を選択し、「色の設定」のところで背景色や文字色を設定)推敲・校正では、この画面設定を元にもどします。
ただ、背景を白にするとまぶしくて目が疲れるので、
「淡いグレーの背景、黒い文字」
という設定にすることが多いです。
画面を設定したら、書き上げた文章をパソコン(ワープロ)の画面を使って推敲していきます。
冒頭から読み返して、おかしな表現があれば直します。
誤字や脱字が見つかったら直します。
もっといい表現や言葉が思いついたときも書き直します。
僕の場合、推敲は文章を削る作業が中心になります。
第一稿で思い浮かんだ言葉をそのまま書いているので、言葉数がやや多めになっています。
ですので、ムダな言葉を省いて文章をすっきりさせていきます。
それと同時に、第一稿と第二稿では体裁(文章の見た目)を考えずに書いているので、ここで体裁を整えていきます。
かなり切り詰めて書いているので、改行する箇所を増やしていきます。
改行すると余白の部分ができますので、ページの見た目が良くなって読みやすくなります。
最後まで推敲を終えたら、<第三稿>の完了です。
*
つづいて、第三稿(画面でひととおり推敲した原稿)を開いている状態で、「詠太」を起動させます。
「詠太」の再生スピード(読み上げの速度)を変更します。
標準(100)だと読む速度がややゆっくりなので、再生スピードの設定を110~150のあいだに設定します。
僕の場合、「詠太」を推敲に使うときは、
- MISAKI …… 130前後
- SAYAKA …… 145前後
- SHOW …… 135前後
という設定にしていることが多いです。
(文章のリズムに合うように、もっと速く設定することもあります)
速度をあげることによって「自分がふだん文章を読む速さ」に近くなるため、
「読み上げを聞いていて耳に心地いい」
「文章のリズムを確認できるので、言葉の使い方が正しいかどうかを判断しやすくなる」
という効果があります。
原稿を、最初から「詠太」に読み上げてもらいます。
いま読み上げている文は、黄色くマーキングされます。
「詠太」の音読を耳で聞きながら、同時に読み上げている文を読む――そのようにして『耳』と『目』の両方で、言葉の使い方や文章のリズムなどを確認していきます。
そして、おかしな表現に気づいたり、もっといい言い回しが思いついたら、そのつど書き直していきます。
最後まで読み上げ、全文をチェックしたら<第四稿>は終了です。
これで、推敲は完了です。
校正のやり方(本条克明の場合)
次は最後の仕上げ――校正です。
誤植(字の誤り)を見つけだして訂正する作業です
一太郎で、第四稿(推敲を終えた原稿)を開きます。
一太郎の[ツール]→[文書校正]の機能を使って、誤字・脱字をさがします。
この機能を使うと、一太郎が誤字・脱字、おかしな言い回しをさがし出してくれます。
※赤でマーキングされているところが、一太郎が見つけた文字や文章の誤り。
このツールでは、会話文の「まあ」とか「なんだよなぁ」とか、擬音や擬態語とか、そういった字の誤りでないところにも反応します。
また、書き手がどんな意図で変換したのか機械には判別できませんので、変換ミスを見落としたりします。
ですが、うっかり句点を二重に打ってしまった( 。。)などのミスは、確実に見つけだしてくれます。
これって、けっこうありがちなミスなんですよね。
確実に見つけてくれるので、かなり助かってます。
この[文書校正]の機能、誤植をけっこう見つけてくれるので、ありがたく活用させていただいています。
*
一太郎の[文書校正]機能が見つけた誤植を訂正し終えたら、「詠太」を起動させます。
そして、「詠太」の再生スピードを標準(100)以下に変更し、読み上げ速度を遅めに設定します。
原稿を、最初から「詠太」に読み上げてもらいます。
読み上げがゆっくりなので、必然的に『耳』と『目』によるチェックもゆっくりになり、一字一句を見落とさない堅実な校正ができるようになります。
最後まで読み上げ、誤植がないか全文をチェックしたら<第五稿>の終了です。
これで校正は完了――作品の完成です。
やったね(笑
推敲・校正は、納得がいくまでくり返す
このような感じで、僕の場合、「順調にいけば」第五稿で作品が完成します。
ですが、実際に第五稿で終わることはめったにありません(苦笑
推敲・校正というのは、なかなか満足できないもので、つい何回もくり返してしまいます。
というのも、読み返すたびにどこかしら書き直しをしたくなるので、どうしても「まだ完璧じゃない」という思いが残ってしまうんですね。
毎回<第十稿>を超えても、まだやってます(苦笑
「できることはすべてやり尽くした!」
という確信がもてるまで、根気よく何度もくり返しています。
そしてその末に、ようやく作品が完成したときは――
メチャクチャ嬉しくなります(笑
この瞬間があるからやめられないんですよね、小説の創作は(笑
小説はオリジナリティの世界――あなただけの小説作法を
当サイトにてご紹介した「小説の創作法」は、あくまでも「本条克明の場合は」というやり方です。
小説や創作の世界というのはオリジナリティ(独創性)が求められているため、書き方(創作の仕方)もオリジナルでなければなりません。
ご紹介した方法が、あなた独自の「小説作法」を築きあげる手助けになりましたら、たいへん嬉しく思います。
※本条克明の小説作法
→小説のモチーフを得る(1)
→小説の世界観・舞台を設定する(2)
→小説のキャラクター(登場人物)を設定する(3)
→小説のプロットを仕上げる(4)
→小説の執筆をする(5)
→小説の推敲・校正をする(6) 当記事
※一太郎に関するほかのお話は、こちらをご参照ください。
→ワープロは作家のバディ(相棒) 作家の道具の筆頭はワープロ
→音声読み上げソフトは誤字・脱字を解消する最強ツール
更新
2019年5月28日 画像の表示サイズを変更。
2019年7月28日 リンクを追加。
2023年11月19日 リングに関する補足説明を一部改訂。
2024年1月7日 リンクを一部削除。
2024年7月27日 ページ内目次を追加。