潜在意識の使い方をマスターすると、「心の力」を活用できるようになります。
「使い方」という表現をすると、まるで道具に対する言いまわしのように聞こえるかもしれませんが、ある意味、潜在意識というのは道具に近いところがあります。
潜在意識は、みずからの性質にしたがって、機能的に作用しているからです。
そのため、潜在意識の性質について理解すると、より「心の力」を発揮しやすくなります。
潜在意識の性質を理解する
潜在意識の性質
潜在意識の性質については、心理学や催眠などの研究によって、新しい事実がわかってきています。
逆を言うと、解明していないことが、まだたくさんあるということです。
とはいえ、現時点においてもさまざまなことがわかっています。
<潜在意識の性質>
- イメージで考えている
- イメージも『現実』として認識している
- 否定形が理解できない
- 問いかけられたことには素直に答えようとする
- 答えを瞬間的にだす
- 寝ているあいだも休まずに活動している
- 現状を維持しようとする
- 潜在意識に刻まれた概念や価値観やスキルは、拡大(進化)する
- 善悪の判断をしない
- 時間の概念がない(すべてを『いま』として認識している)
- 場所の定義がない(すべてを『ここ』として認識している)
- 自分と他人の区別が苦手(すべてを『私』として認識している)
潜在意識の性質が、意識と異なっている理由
潜在意識は、通常の意識とはまったくちがうことがおわかりいただけたかと思います。
性質が異なっているので、「考え方」も意識とはちがいます。
なかでも、
- 善悪の判断をしない
- 時間の概念がない(すべてを『いま』として認識している)
- 場所の定義がない(すべてを『ここ』として認識している)
- 自分と他人の区別が苦手(すべてを『私』として認識している)
という部分は、なかなか理解できないと思います。
なぜ、こんなにも通常の意識と異なっているのでしょう?
その理由は、潜在意識の奥に、集合的無意識があるからだと推測されます。
潜在意識のもっとも奥深いところに、集合的無意識があります。
集合的無意識を通じて全人類、存在するすべてがひとつにつながっています。
※こちらをご参考ください
集合的無意識においてはすべてが一体であり、完全です。
この世のすべてが一体である、ということが前提にありますので、
私も、あなたも、彼らも――
これも、あれも、それも――
過去も、現在も、未来も――
みなおなじものの一部分であると、集合的無意識は考えています。
はっきり言って、通常の意識(人間の知能)では、集合的無意識の考え方を理解するのは不可能です。
私たちは個別化された世界のなかで、個別の人間として生きているので、分離した考え方しかできないからです。
意識と集合的無意識は、価値観や考え方がまったくちがうので、同調することがむずかしく、直接的につながることは困難です。
ですが、意識と集合的無意識のあいだに、中間的な性質や考え方の意識があります――それが潜在意識です。
集合的無意識とつながっているため分離感のない考え方をしていますが、意識ともつながっているので私たちの思考を受け取ることができます。
善悪の判断をしない考え方
潜在意識の性質の、
「善悪の判断をしない」
という部分は、理解しておく必要があります。
潜在意識は、「良い-悪い」の区別をしません。
それはつまり、意識による想(おも)いを、すべて暗示として受け入れるということです。
否定的な考え――
否定的なイメージ――
否定的な行動――
そういったことのすべてを暗示として受け取り、否定的な現象を引き寄せます。
潜在意識は「自分の心」であるにもかかわらず、自分にとって良くないとか、自分にとって不利になるとか、そういった判断はいっさいしません。
善悪の判断をせずに、すべてを暗示として受け取り、それに見合った『現象』や『結果』を引き寄せます。
潜在意識には、冗談や皮肉は通じません。
あなたの想いや言動を、そのまま暗示として受け取ります。
逆を言えば、日頃から肯定的に考え、肯定的な言動をしていれば、それが潜在意識への自己肯定暗示になるということです。
肯定的な出来事(できごと)、自分にとって有利なことが、高次の導(みちび)きによって、次々と起こるようになります。
自分の考え、自分の言動に気をつけること――
それが、潜在意識を味方につける秘訣(ひけつ)になります。
自分と他人の区別をしない考え方
もうひとつ理解しておくべきなのが、
「自分と他人の区別が苦手」
という性質です。
潜在意識は「自-他」の区別があまりできません。
自分のことも、他人のことも、すべて『私』として認識します。
そのため、誰かのことを否定すると、自分を否定したのとおなじことになります。
人の悪口を言う人は、自分に対して否定暗示をおこなっています。
言ったその場はスッキリするかもしれませんが、潜在意識に対して自己否定暗示をおこなったので、次の「いやなこと」を引き寄せます。
逆を言うと、日頃から人を褒(ほ)めたり、称(たた)えたり、人の良いところを指摘する人は、それが自分に対する肯定暗示になるということです。
実際、上手(じょうず)に褒めることができたときは、自分のほうも気分がいいですしね(笑
良い人のことを思う――
人の良いところに意識の焦点を合わせる――
それが、潜在意識を味方につける秘訣になります。
潜在意識への暗示は「自己暗示」――変えるべきは自分自身
もちろん、潜在意識の強大な『力』をもってしても、想いや願望が「なんでも」、「かならず」実現するわけではありません。
潜在意識への暗示は、自己暗示です。
そのため、他者や社会をコントロールするような暗示は、実現されません。
※こちらをご参照ください
(当サイトの別記事 潜在意識への肯定暗示でつまずかないために より)
「人や社会を思いどおりにできないのなら、潜在意識への暗示なんて意味ないじゃないか」
そのように思った人もいるかもしれませんが、けっしてそんなことはありません。
外側(現象や結果)を変えたければ、先に内側(心、精神)を変えなくてはならないからです。
他人を変える必要はない――
変えるべきは自分自身――
そのような価値観をもっている人は、潜在意識への暗示が最大限に活かされます。
潜在意識の強大な『力』が、味方になってくれます。
自分という未知を理解するために
潜在意識の性質は、意識とはまったく異なっています。
そのため、考え方も意識とは異なっています。
心というのは、奥にいくほど、まったくちがう世界がひろがっているんですね。
そしてそれは、自分の「内なる世界」であり、「本当の自分」です。
自分という未知を理解するには、潜在意識の性質を知る必要があります。
自分自身を理解し、「心の力」を使いこなすための参考になさってみてください。
※関連しているお話
※「褒める」に関するお話(本条克明の別サイト『恋とは幸せなものなんだ』のエッセイ記事)
更新
2024年12月7日 リンクを追加。