ロボットクリエーターの高橋智隆(たかはし・ともたか)さんが、ロボカップ(ロボットのサッカー大会)に出場する「ヴィジオン ネクスタ」というサッカーロボットの制作に参加したときのエピソードとして、こんなことを著書のなかで語っています。
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ネーミングは「ヴィジオン」の後継機ということで、次世代の担い手=Next Agentの意味を込めた「ヴィジオン ネクスタ(VisiON NEXTA)」に決まった。
私はサッカーにちなんだ名前としてエースストライカーの「エストラ」やゴールキーパーの「ゴルキパ」、極めつけに得点王の「トクテオン」などのすばらしいネーミングを提案したがすべて却下されてしまった。
なぜだ。
※ネット上で読みやすいように改行を加えて体裁(文章の見た目)を整えてあり、一部文字の拡張を施しています。
<参考動画>
VisiON NEXTA 自己紹介
vstonevstone様の動画(YouTube)
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………………ぷっ。(←笑ってる)
ネーミングは、登場人物のイメージに合っていることが大事
高橋智隆さんのネーミングが却下されてしまった理由――
それはもちろん、名が体(たい)をあらわしすぎているからですよね(笑
キャラクターのネーミングでは、名が体をあらわしすぎるのは好ましくありません。
たとえば、イケメンのモテモテ男の名前が「池目 茂手男(いけめ・もてお)」だったりしたら、存在自体がギャグになってしまいます。
でもね――
物語を創作している人からすると、これ、やりたくなるんですよね(苦笑
というのも、ネーミングにおいては、
「名前が、そのキャラクターのイメージに合っていること」
それが何よりも重要だからです。
そして、名前をキャラクターのイメージに合わせるてっとり早い方法として、「名が体をあらわしているネーミング」をしたくなっちゃうんですよね(苦笑
だから、つい、これをやってしまいがちなのですが……
ゴールキーパーの「ゴルキパ」や、得点王の「トクテオン」というネーミングが笑いをさそってしまうように、名が体をあらわしすぎていると滑稽(こっけい)になってしまいます。
ですので、ネーミングの際には、
「名が体をあらわしすぎてはいないけど、でも、登場人物のイメージに合っている」
ということを、僕の場合はマイ・ルールとしてみずからに課しています。
ページ内目次
名前ひとつで、創作がとまってしまうこともある
とは言っても、これって簡単じゃなかったりするんですよね(苦笑
たとえば、以前に『きみの微笑みが嬉しくて』という恋愛小説を電子書籍にして配信していたのですが……
※現在はWEB小説として『恋とは幸せなものなんだ』というサイトで公開しています。
→目次 『きみの微笑みが嬉しくて』 (恋とは幸せなものなんだ)
この作品のときは、プロットはすべてできあがっているのに、ヒロインの名前だけがどうしても決まりませんでした。
作中では名前(下の名前)で呼ばれることはあまりないので、
「とにかく姓(名字)だけは、イメージにぴったり合っていなければいけない」
と自分にきびしく言い聞かせ、妥協することなくアイデアを求めつづけました。
その結果、
「暮咲(くれさき)」
という姓を直感的に思いついて、ようやくヒロインの名前が決まったのですが……
このネーミングひとつのために、2週間以上も書きはじめるのが遅れてしまいました(汗
僕の場合、こういったことはよくあることなんですけどね。
主人公の名前は平凡なほうがいい?
余談になりますが、登場人物のネーミングに関するエピソードをひとつ。
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007シリーズの原作者であるイアン・フレミングは、主人公の名前を考えていたとき、気分転換にとある鳥類学者の本を読んでいました。
その本の著者の名前を見ると、ジェームズ・ボンドと記されていました。
このとき、フレミングは思いました。
「なんて平凡な名前なんだ!」
そしてフレミングはその名前を拝借して、007をジェームズ・ボンドと命名しました。
というのも、フレミングにはこんな持論があったからです。
「主人公は、なるべく平凡で目立たない名前のほうが、飽きがこないので愛される」
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フレミングの「主人公の名前は平凡なほうがいい」という考え方には、賛否両論だと思います。
でも――
日本でも「山田太郎」というキャラクターが愛されていたりしますので、フレミングの言うことにも一理あるんでしょうね、きっと(笑
キャラを立てるためにも、登場人物のネーミングは妥協できない
作家として、キャラクターのネーミングは妥協できません。
心理学の世界でも、こう言っていますしね。
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じつは、名前には人に与える特定のイメージがあり、魅力ある名前は相手に対して「魅力的な人」というイメージを与える。
出典:『【図解】 人の心はひと言で操れる』 内藤誼人・著 PHP研究所(2013年)
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ネーミングしだいで、登場人物のキャラが立つかどうかが決まってしまう――
そう言っても、けっして大げさではないんですね。
※「キャラが立つ」とは、「登場人物に個性があり魅力的である」という意味です。物語の創作に関する業界ではよく使われる表現です。
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小説であれ、マンガであれ、シナリオであれ、物語を創作している人はみな、キャラクターのネーミングを重視していると思います。
今回のお話はあくまでも「本条克明のマイ・ルール」ではあるのですが、よろしければ参考になさってみてください。
※よろしければ、こちらの記事もご参考ください
→名前でキャラを立てる文章テクニック (本条克明の場合)
→小説のキャラクター(登場人物)を設定する (本条克明の小説作法3)
→物語の「オッドアイ設定」について
更新
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