今回は、僕の「小説の創作法」の3回目として、
「キャラクター設定」
についてお話しいたします。
※1回目から読む場合は、こちらの記事をご閲覧ください。
→小説のモチーフを得る (本条克明の小説作法1)
キャラクター設定で、登場人物に命を吹きこむ
舞台(世界)の設定が終わったら、次の設定へと移ります。
まだ終わっていない場合も、次へ移ります(笑
いくら考えても埋められなかった設定項目はあとまわしにして、次の設定をはじめます。
とまっている時間を短くすることが挫折を防ぐことにつながりますので、行き詰まったらそこは空欄のままとばして、できるところから設定するようにしています。
次は、キャラクター(登場人物)の設定です。
創作の過程で、やっぱりキャラ設定がいちばん楽しいですね、僕の場合は。
ページ内目次
キャラクター設定のやり方(本条克明の場合)
主人公をはじめ、物語で重要な役割をになう登場人物を、ひとりずつ設定していきます。
僕の場合、設定項目はこんな感じです。
************
<基本データ>●名前
●年齢
●誕生日(生年月日)
●簡単に言うと……
<外面>
●顔立ち
●髪型、髪の色
●体つき(身長、体重)
●服装
●アイテム(持ち物)
<内面>
●主な性格
●特技
●マイナス面
●特徴的な動作や仕草(癖)
●声、話し方、口癖
●一人称
<経歴、環境>
●経歴(過去)
●現在の状況(生活環境)
●家族構成
************
キャラクターに応じて埋めない項目や、追加する項目がでてきますが、おおむねこんな感じで設定しています。
*
●簡単に言うと……
という設定項目は「キャラの瓦解(がかい)」をふせぐために設けています。
「キャラの瓦解」というのは、その登場人物がらしからぬ言動をすることで、個性や魅力がこわれてしまうことです。
小説にかぎらず物語の書き方を教わると、
「登場人物の性格は、一貫していなければならない」
と、かならず指導されると思います。
心理学においても「性格に一貫性のない人には嫌悪感をおぼえる」と説いていますね。
ですので、<基本データ>のところで登場人物の個性を簡単に言いあらわしておいて、性格に矛盾が生じないように心がけています。
*
●一人称
という項目は、「自分のことをなんて言っているのか」のことです。
「私」とか、
「俺」とか、
「僕」とか、
その設定です。
たとえば、『罪や過ちは消せないのか?』という作品では、カツオ、誠一(せいいち)、賢策(けんさく)の3人で会話をするシーンがあるので、
- カツオ …… オレ
- 誠一 …… 俺
- 賢策 …… 僕
といったように、一人称の表記がかぶらないように設定しています。
※『罪や過ちは消せないのか?』は、本条克明が以前に電子書籍として配信していたボクシング小説です。現在はWEB小説として『月尾ボクシングジム物語』というサイトで公開しています。
→目次 『罪や過ちは消せないのか?』(月尾ボクシングジム物語)
*
<外面>
の設定項目は「登場人物の容姿」に関する設定です。
あとで読み返したときにはっきりとイメージが思い浮かぶように、主要キャラに関してはイラストを添えることが多いです。
『スピードでパワーファイターに勝つ』に登場する星乃塚秀輝(ほしのづか・ひでき)の設定
※『スピードでパワーファイターに勝つ』は、本条克明が以前に電子書籍として配信していたボクシング小説です。(現在は『月尾ボクシングジム物語』というサイトでWEB小説として公開しています)→スピードでパワーファイターに勝つ 目次ページ
※設定表に挿入しているイラストは、株式会社ジャストシステムの『アレンジOK!素材集』の素材を加工・編集して作成しています。
*
主要な登場人物の設定ができあがったら、人物相関図をつくります。
画像は『可変人間サーガ』の人物相関図
※『可変人間サーガ』は、本条克明が以前にネット上で公開していた異世界ファンタジー小説です。(現在は公開していません)
この段階で、登場人物を増やす必要に気づいた場合は、そのつどまたキャラクターを作成していきます。
*
主要キャラの設定が終わったら、
サブキャラ(ちょい役)の設定をします。
たいがい2、3行ていどの箇条書き(かじょうがき)です。
ま、「ちょい役」ですからね(笑
設定を終えた時点で、ストーリーの大筋ができあがっている
設定表を最初から(世界観・舞台設定から)読み返し、空欄のままになっている項目を埋めたら、設定は完了です。
時間と手間はかかりますが、ここまでやっておけば、書きはじめてすぐに、登場人物が自分の意思で動きだしてくれます。
僕の場合は、設定が終わった時点で、ストーリーの大部分ができあがっています。
特に、キャラクター設定の、
<経歴、環境>
の項目で設定した登場人物のエピソードが、物語に深みを与えてくれます。
かたちのないアイデアからキャラクターが生まれていく喜び――それがキャラ設定の魅力
キャラクターをつくっていくのは、すごく楽しいです。
頭のなかの漠然(ばくぜん)としたイメージだったキャラクターが、この段階ではっきりとした『人物』になります。
かたちのないアイデアだったものが「生きた人間」になっていくので、「楽しい」を通り越して、うれしくなってきます。
アイデアを生みだす作業なので、行き詰まったり、時間がかかったりすることもあるのですが……
僕の場合、苦痛に感じることはほとんどありません(笑
むしろ、悩みながら試行錯誤するのが快感だったりします。
キャラ設定が完了すると、
「ああ、終わっちゃったなぁ……もう次の工程にいかなきゃ」
みたいな感じで、ちょっと残念な気持ちになることもしょっちゅうです(笑
ここでご紹介した設定のやり方は、あくまでも「本条克明の場合は」という方法ではあるのですが、物語の設定をするときの参考になさってみてください。
※本条克明の小説作法
→小説のモチーフを得る(1)
→小説の世界観・舞台を設定する(2)
→小説のキャラクター(登場人物)を設定する(3) 当記事
→小説のプロットを仕上げる(4)
→小説の執筆をする(5)
→小説の推敲・校正をする(6)
※キャラクターに関するほかのお話
→キャラクターのネーミング (本条克明の場合)
→名前でキャラを立てる文章テクニック (本条克明の場合)
→物語の「オッドアイ設定」について
更新
2018年10月19日 リンクを追加。
2024年7月27日 ページ内目次を追加。
2024年10月6日 リンクを追加。