近年、日本における「活字ばなれ」が深刻化しています。
読書をしない人が増えており、それにともなって日本人の読解力も低下していると言われています。
動画や画像だけで楽しめるメディアが多くなったことが、日本人の活字ばなれを進行させている要因だと考えられています。
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活字――すなわち「文章」は、いっぱい読んだほうがいいですよ。
私たちは日本語を習得しており、日本語の文章を読む能力があります。
文章を読む習慣があれば、「脳トレ」なんてやる必要ありません。
そう言えるぐらい、文章を読むことには脳を活性化する効果があります。
日本語の文章は、
表音文字(ひょうおん・もじ)
表意文字(ひょうい・もじ)
その両方で構成されているからです。
日本語は「表音文字」と「表意文字」
ページ内目次
日本語の文字体系
文字の分類として、「表音文字」と「表意文字」があります。
表音文字は、文字そのものに意味はありません。
音のみをあらわしています。
アルファベットなどが表音文字に該当します。
いっぽう表意文字は、文字自体が意味をもっています。
古代エジプトのヒエログリフ(象形文字)などが、表意文字に該当します。
そして、日本語で使われている文字は――
かな(カナ)は、表音文字です。
それぞれの字に意味はなく、音のみをあらわしています。
漢字は、表意文字です。
文字そのものに意味があり、その一文字でなんらかの意味をあらわしています。
つまり、日本語の文章では「表音文字」と「表意文字」の両方が使われているということです。
これは、希有(けう)なことです。
世界のほとんどの国や地域で、表音文字が使われています。
表意文字を使うこと自体がまれであり、さらに表音文字と表意文字を組み合わせた文字体系となると、もっと希少です。
日本語の文章というのは、それだけ複雑で、高度だということです。
さらに、日本語の表音文字であるかな(カナ)――
ひらがなとカタカナを合わせると、92文字あります。
※濁音や半濁音、小さい文字の「っ」や「ゃゅょ」などを除いた数です。
アルファベットは、26文字。
かな(カナ)は、アルファベットの約3.7倍あります。
そして漢字は……
いったい、いくつあるんだ?
常用漢字と人名用漢字を合わせるとおよそ3000字だと言われているので、実際に日常で使用されているのはそれぐらいになるのかなぁ。
とにかく、たくさんあります(笑
日本語は、文字をおぼえるだけでもたいへんです。
つまり、習得するのがむずかしい言語なんですね。
そんなむずかしい言語を習得していること――日本語の文章が読めることは、すごい能力だと言えます。
そんなすごい能力を身につけておきながら、活字ばなれなんて、もったいないことをしてるよなぁ……。
表意文字と表音文字――それぞれの特性を活かす
漢字は表意文字です。
字そのものが意味をもっています。
そのため、その文字から伝わってくる印象(イメージ)があります。
それはつまり、漢字で書かれた文のほうが相手に伝える能力が高いということです。
よい 良い
ただしい 正しい
うつくしい 美しい
たのしい 楽しい
すき 好き
いとしい 愛しい
ひらがなよりも漢字で書かれているほうが、文字から伝わってくるものが強いですよね。
日本語の文章は、表意文字である漢字を使うことによって、言葉の意味をより深く伝えているんですね。
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いっぽう、ひらがなやカタカナによる表記は、漢字よりもやわらかく、かるい印象になります。
文字そのものに意味やイメージがなく、ただ音のみをあらわしているからです。
その特性もまた、文章に活用することができます。
私の場合は、作品や記事を読んでポジティブ(肯定的)な気持ちになってほしいので、ネガティブ(否定的)な言葉を使うときは、できるかぎり漢字ではなく、ひらがなで表記するように心がけています。
悪い わるい
難しい むずかしい
悩む なやむ
苦しい くるしい
ネガティブな言葉をひらがなで書くことで、言葉だけをあらわす文になるので、否定的なイメージが読者に伝わるのを軽減することができます。
文章というのは肯定的な言葉だけでは成立しないので、否定的な言葉も使わなくてはなりません。
その場合は、できるかぎり漢字を使わずにかな(カナ)で表記するように、私は心がけています。
文章を読むことが最高の脳トレ
「文章を読む」という行為は、脳を活性化させます。
それは世界共通だと思います。
日本語の場合は、その効果がより大きいと思われます。
表音文字と表意文字を組み合わせている日本語の文章は、より複雑だからです。
「脳トレ」と称して日常とかけはなれたクイズを解くよりも、文章を読むことを習慣にしたほうが、脳を鍛える効果が高いと思います。
メディアが多様化した現代では、本でなくてもかまいません。
ネットのニュース記事でも、ブログでも、ネット小説でも、とにかく文章を読む機会を増やしましょう。
それによって脳が活性化し、知識や教養も身につきます。
日本語の文章を読む能力を身につけておきながら、文章を読まないなんて、もったいない。
あまりにも、もったいない。
もっともっと、活字にふれましょう。
日常的に、文章を読みましょう。
きっと、いいことがありますよ。
※「本をたくさん読む」に関するほかのお話
※脳に良いに関するほかのお話
更新
2024年10月23日 リンクを追加。