当サイトにおいて、肯定暗示法(自己暗示法)を公開しているのですが――
※こちらをご参照ください
肯定暗示のやり方を提唱するにあたって、私は『快』の感覚(喜び、肯定感)があることを、たいへん重視しています。
『快』には驚異的な力――心を救うほどの強烈なパワーがあるからです。
実際、私がうつから抜けだす最初のきっかけとなったのも、私自身の『快』でした。
そして、私を救うきっかけとなった『快』というのは、
「昭和の(子供向け)特撮ドラマ」
でした。
『快』には人生を好転させる力がある
私は29歳のときにうつになり、それからおよそ5年間、ひきこもりの生活をしていたことがあります。
うつになったばかりの頃は、毎日、人生を終わらせることばかりを考えていました。
引きこもりであっても、行ける場所がある
「引きこもり」と言っても、まったく外にでなかったわけではありません。
引きこもりの生活をしている人でも、外にでて、たびたび行く場所というものがあるものです。
多くの場合、近所のコンビニエンスストアだと思うのですが……。
私の場合、「引きこもりになっても行ける場所」は、本屋さんでした。
私の父は哲学者でした。
私が子供だった頃、父は、おもちゃは買ってくれなくても、本であれば好きなだけ買ってくれました。
父と一緒に出かけた場所でもっとも多かったのが書店でしたね。
そんな子供時代をすごしたためだと思うのですが、「外にでたくない、外にでる気力もない」という精神状態にあっても、本屋さんには行くことができました。
ずっと引きこもっていては何も好転しない。
なんでもいいから、とにかく外へでなくては……。
でも家からでて、どこへ行く?
……本屋さんだな。
そんな感じで、悶々(もんもん)としながら目的もなく書店に足をはこぶということを、日々、くり返していました。
そしてその日、『快』が起こった!
うつになり、引きこもり生活をはじめてからおよそ1年が経ったある日のこと――
私は「目的もなく地元の書店に行く」ということを、いつもとおなじように実行しました。
そして、店内にはいってすぐに、私の足はとまりました。
その書店ではCDやDVDの販売もおこなっており、販促(はんそく)の映像を流すためのモニターが設置されていました。
そして、そのモニターに映しだされていたのが――
『快傑(かいけつ)ライオン丸』
という、昭和の特撮ドラマでした。
※『快傑ライオン丸』
放送:1972年~1973年 制作:ピー・プロダクション、フジテレビ
DVDボックスの第1巻が発売されたことによる販促として、モニターにデモ映像が流されていたのですが……
私の目はモニター画面に釘付けになりました。
理由なんてありません。
とにかく目をはなすことができない――それぐらい、映像にひきこまれていました。
『快傑ライオン丸』が放送されていたのは1972年――私が生まれた年なので子供の頃に見ていた記憶はなく、「なつかしい」という気持ちはありません。
ですが……なぜだか猛烈に惹(ひ)かれるものがありました。
とはいえ、そのときにその商品(DVDボックス第1巻)を購入することはありませんでした。
高額な商品なので、即断即決(そくだん・そっけつ)はできなかった……というのは言い訳で、本当のところはレジに行くのがいやだったからです。
うつで引きこもりの生活をしているので、人と接することに対して苦手意識や引け目を感じており、レジに商品をもって行くことができなかったんですね。
※2002年の当時はまだセルフレジが普及しておらず、商品を購入する際にはレジで店員さんと接する必要がありました。
その日は、そのまま家に帰ったのですが……。
家に着いてからもずっと『快傑ライオン丸』のことが頭からはなれません。
書店のモニターで観た「白いライオンの頭部をした剣士が戦っている姿」が何度も思い返され、興奮して寝付けないほどでした。
そして翌日――
私は書店に行き、勇気をだして『快傑ライオン丸』のDVDボックスを購入したのでした。
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毎日、夢中になって観た
DVDボックスを購入してからは、文字通り「朝から晩まで」ひたすら『快傑ライオン丸』を観ました。
それこそ、「起きているあいだ、ずっと観ていた」というぐらいに観まくりました。
当時は、ふたりの兄と一緒に暮らしていたのですが、兄たちは子供の頃に『快傑ライオン丸』を観ていたので、なつかしがって一緒に楽しんでくれました。
一日じゅう、昭和の子供番組を観ていることに対して、同居していた兄たちが否定しなかったのは、いま思うと幸(さいわ)いでしたね。
そして私は、ますます『快傑ライオン丸』に夢中になりました。
特撮時代劇という設定
チャンバラをメインにした高度な立ち回り
わかりやすくて痛快なストーリー
美しいライオンのマスク造形
何もかもがすばらしくて、何度も、くり返し観ました。
特に魅力を感じたのが、マスクの造形です。
手がけたのは高山良策(たかやま りょうさく)さん。
高山良策さんは、第一期ウルトラシリーズの怪獣造形が有名で「怪獣の父」とか「怪獣造形の神様」と言われているのですが、『快傑ライオン丸』などのネコ科獣人の造形も本当にみごとです。
というより、私にとって高山良策さんは、「ネコ科獣人造形の神様」ですよ!
快傑ライオン丸
ライオン丸のライバル剣士、タイガージョー
風雲ライオン丸
風雲ライオン丸のライバル剣士、ブラックジャガー
鉄人タイガーセブン
豹(ひょう)マン (パイロット版のみのキャラクター)
いずれもピー・プロダクションの特撮作品のキャラクターですが、高山良策さんはネコ科獣人の造形を数多く手がけています。
そして、どれもみな造形がすごい! すばらしい!
高山良策さんと言えば、やっぱりネコ科獣人ですよ!
※↑テンション爆上がりで書いてます(笑
インプットからアウトプットへ 自分でもつくってみたい衝動に
毎日、くり返し『快傑ライオン丸』を観て、高山良策さんの「ネコ科獣人」の美しさに魅了されているうちに、別の衝動がわきあがってきました。
「自分でもネコ科の動物をモチーフにした造形物を、何かつくってみたい」
という衝動です。
そして、100円ショップへ行き、軽量紙ねんど、下塗り剤、必要な色のアクリル絵の具、ニスを購入しました。
それらを使い、ネコ科の動物をモチーフにしたものをつくりはじめました。
ひとたびつくりはじめると、時間の経過もわすれるくらい夢中になりました。
当時は毎日、一日じゅうつくっていたので、かなりの数のものを制作したのですが、いま残っているのはこのふたつだけです。
まどろむ茶トラ猫
猫ブッダ
そして、難題に挑む勇気を得た!
家にこもり、紙ねんどのネコ科動物フィギュアをつくっているだけの生活――
そういうふうに言うと、「うつ」や「引きこもり」の状態からほとんど変わっていないように思えるかもしれませんが、私にとっては大きな進歩でした。
紙ねんどを使い、「こういうのをつくりたい」と思ったものをつくりあげる――
それをくり返しているうちに、「目標を立てて、それを達成する」という感覚が、心のなかに呼び起こされたからです。
そして、
「いまの俺なら、できるかもしれない」
という気持ちになりました。
私はその気持ちのままに、
「うつを克服して、社会に復帰する」
ということを、自分の「達成すべき目標」として設定しました。
それが、「自力でうつを克服する」という難題に挑(いど)むはじまりになりました。
理性よりも『快』に従うことが人生を好転させる秘訣
うつになると、心に感情が起こりにくくなります。
特に肯定的な感情――『快』や「喜び」は起こりにくくなります。
だからこそ、『快』を感じる何かに出会ったら、その『快』を大切にするべきです。
映画、ドラマ、マンガ、アニメ、ゲーム――
あなたが『快』を感じ、楽しめるものであれば、なんだってかまいません。
子供っぽいとか、いい大人がはずかしいとか、そういった理性による否定をせずに、『快』に突き動かされるまま、とことんまでその『快』にひたりましょう。
あなたのその『快』には、あなたの心を癒(い)やし、あなたを苦悩から救いだすほどの強烈なパワーがあるのですから。
※うつに関するほかのお話
※本条克明がうつを克服した方法(肯定暗示法)
更新
2024年6月18日 ラベルを追加。
2024年7月8日 リンクを追加。
2024年7月21日 ラベル(うつを克服した)を追加。